高消化性・紫斑点病抵抗性ソルゴー型ソルガム新品種の育成と地域に適した利用法
- 課題番号
- 27037C
- 研究グループ
- 長野県畜産試験場、カネコ種苗株式会社、
神奈川県畜産技術センター、香川県畜産試験場 - 研究総括者
- 長野県畜産試験場 清沢 敦志
- 研究タイプ
- 育種対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 高消化性・紫斑点病抵抗性ソルゴー型ソルガム新品種の育成と地域に適した利用法(PDF : 1149.8KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
輸入飼料価格の高騰は畜産経営を圧迫し、この影響を軽減するためには自給飼料生産を増加させることが必要であり、本研究では畜産農家が求める飼料価値の高い良質なソルガム新品種の育成を目的とする。このため、有望な系統について生育特性、生産性、採種性、地域適応性などを評価し、関東以西の温暖地から暖地で利用が期待できる、高消化性と紫斑点病抵抗性を併せ持ったソルゴー型ソルガムを育成すること、および栽培・給与の手引きを作成することを達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1) 高消化性と紫斑点病抵抗性を併せ持つソルゴー型ソルガム「東山交37号」を育成した。
(2) 「東山交37号」の年間乾物収量は、標準品種「秋立」と比較して9%多収である。
(3) 「東山交37号」茎葉部の推定TDN含量は59.7%で、非高消化性の「KCS105」と比較して8.5ポイント高く、消化試験によるサイレージの実測TDN含量は62.2%である。
(4)オンラインで閲覧できる栽培・給与の手引き暫定版を作成した。
公表した主な特許・品種・論文
(1) 品種登録出願予定 ソルガム品種「東山交37号」を品種登録出願予定(H30年3月)
(出願者名:長野県、カネコ種苗株式会社)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)「東山交37号」を品種登録出願し、普及見込み地域において農家試作を行い、新品種をPRするとともに、オンライン版栽培・給与の手引きを公開し、普及を助けるツールとする。
(2) 既存品種の代替品種として特に紫斑点病罹病リスクの高い地域での普及を進めるほか、獣害等により飼料用トウモロコシの作付けが困難な地域での被害回避飼料作物として普及を図る。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、農家試作により新品種の特性をPRするとともに、種子の販売を開始する。
(2) 5年後(2022年)は、年間10tの種子を生産、販売予定。
(3) 最終的に、ソルガム栽培面積の10%にあたる1,500haの普及を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 高消化性による飼料コストの低減と、紫斑点病の被害回避で5億3千万円の経済効果が期待できる。また、獣害頻発地等へ導入することで、作付面積の増加によるプラス効果も期待できる。
(2) 新品種の普及は、畜産農家の所得向上による経営安定と、国産飼料による畜産物の生産につながり、国民の食へのニーズにかなった畜産物の安定供給に貢献できる。
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清沢敦志
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