国産のデュラム小麦品種の栽培と純国産パスタ製品の開発
- 課題番号
- 27024C
- 研究グループ
- 日本製粉株式会社、農研機構西日本農業研究センター、
兵庫県立農林水産技術総合センター、山口県農林総合技術センター - 研究総括者
- 日本製粉株式会社 大楠 秀樹
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 国産のデュラム小麦品種の栽培と純国産パスタ製品の開発(PDF : 982.7KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
日本で登録品種の栽培実績がないデュラム小麦の新品種「セトデュール」(系統名:中国D166号)を実用化し、国産デュラム小麦の安定供給可能な栽培法を開発し、国産デュラム小麦の特徴を活かした純国産パスタ製品の開発を図ることを目的とする。このため、(1) 「セトデュール」の栽培体系を確立する、(2) 「セトデュール」の製粉上の問題を明らかにし、大型製粉ラインでセモリナを生産する、(3) 「セトデュール」でパスタを製造し、実証販売する、ことを達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1) 「セトデュール」の評価と子実タンパク質含量の目標値を設定した。
(2)施肥体系による子実タンパク質含量の目標達成方法と収量増加の方法、並びに、赤かび病の抑制策と穂発芽低減の方法等の栽培マニュアルを作成した。
(3) 「セトデュール」を小型実製粉ラインで製粉を行い、課題抽出と対策を検討し、その知見をもとに大型製粉ラインを調整し製粉した。
(4) 「セトデュール」のセモリナを使い、パスタ工場の製造ラインで乾燥スパゲッティの試験製造を行い、問題がないことを確認した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)施肥方法、赤かび病防除、穂発芽低減策などの栽培ノウハウをまとめた栽培マニュアルを活用し、生産者と農業改良普及センターの協力のもとに普及拡大に努める。
(2)大型製粉ラインで、70%以上の高歩留で、商業的に見合うセモリナを得た。
(3)スパゲッティ製品は、生産法人の6次産業化に加え、日本製粉・オーマイブランドの家庭用市販品「瀬戸内生まれのスパゲッティ」として販売した。継続的な販売のため栽培面積の拡大を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1)2年後(2019年度)は、栽培マニュアルが検証され、100トン超えの普及拡大を推進する。
(2)5年後(2022年度)は、150トン~200トン規模のデュラム小麦栽培を安定的に行い、乾燥スパゲッティに限らず、純国産パスタ製品が市場に定着する。
(3)最終的には、瀬戸内地域でデュラム小麦の栽培面積の拡大に努め、市場の要求に応じ、純国産パスタを数百トン規模で製造・販売する。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1)100トンのデュラム小麦を乾燥スパゲッティにし、300g袋を200円で販売すると、総売上高は約4700万円になる。栽培面積を瀬戸内地域で10倍に拡大できると、総売上高は4.7億円になるが、レストラン等で調理品を約10倍の価格で提供することも可能であり、将来は5億円から50億円規模の経済効果も期待できる。
(2)本研究の成果を活用した商品の普及によって、食料自給率向上に加え、国産デュラム小麦から開発された純国産パスタ製品を購入可能となり、国民の食生活が、国産農産物で彩られて豊かになることへの貢献が期待できる。
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日本製粉株式会社
基礎技術研究所
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