数種弱毒ウイルスを用いたホオズキのウイルス病総合防除技術の構築
- 課題番号
- 27023C
- 研究グループ
- 大分県農業研究指導センター、宮崎県農業総合試験場
農研機構中央農業研究センター、九州沖縄農業研究センター - 研究総括者
- 農研機構九州沖縄農業研究センター 冨高 保弘
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Bタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 数種弱毒ウイルスを用いたホオズキのウイルス病総合防除技術の構築(PDF : 1026.1KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
ホオズキは日本の伝統作物であり、主として中山間地域で栽培されるマイナー作物である。近年、ホオズキにウイルスによる病気が多発生し、収量および品質の低下を招いており、労力とコストを低減した防除技術の開発が求められている。このため、ホオズキに発生する主要ウイルス種を明らかにするとともに、それらの弱毒ウイルスを作出し、圃場毎のウイルス発生状況に応じたワクチンのセットを用いることにより、ホオズキのウイルス病総合防除技術を構築し、ウイルス病の発生ゼロを実現することを達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1) ホオズキに病気を引き起こす主要なウイルスがタバコ微斑モザイクウイルス(TMGMV)およびトマトモザイクウイルス(ToMV)の2種であることを明らかにした。
(2) TMGMVおよびToMVのワクチンを開発した。
(3) TMGMVワクチンおよびToMVワクチンをホオズキの親株に接種し、その地下茎を植え付けることでワクチン接種苗として利用できることを明らかにした。
(4)圃場で発生しているウイルス種と同じ種のTMGMVワクチンあるいはToMVワクチンを利用することによって、ウイルス病の症状が抑制され、収量が向上することを明らかにした。
公表した主な特許・品種・論文
(1) 米田恵美他.大分県のホオズキにおけるウイルス病の発生実態.九州病害虫研究会報 63, 23-29 (2017).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 九州のホオズキ産地において、技術説明会等を開催し、本技術の迅速な普及に努める。
(2) ワクチンを用いた防除マニュアルを公表するとともに、全国の都道府県の試験研究機関と連携し、ホオズキ産地でのワクチンの導入を進める。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、九州のホオズキ産地の約10%(3ha)においてワクチンを普及させる。
(2) 5年後(2022年度)は、全国のホオズキ産地の約30%(13ha)においてワクチンを普及させる。
(3) 最終的には、全国のホオズキ産地46haに成果を普及し、ウイルス病の発生を10%以下に抑える。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) ワクチンを活用した防除マニュアルを全国のホオズキ産地に普及することにより、年間約1.2億円の効果が期待できる。
(2) 本研究の成果を活用し、他の栄養繁殖性等の作物においてワクチン利用法や複数のワクチンの利用法が開発されることによって、ウイルス病防除対策や食糧の安定生産への貢献が期待できる。
この研究成果を活用しませんか?
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
農研機構九州沖縄農業研究センター
E-mail:yasut[at]affrc.go.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 096-242-7730