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農林水産技術会議

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DNAマーカーを活用した新たなサトウキビ育種プロセスの構築

年度
2018
ステージ
実用技術
分野
農業(製糖用作物)
適応地域
九州・沖縄
キーワード
サトウキビ、DNAマーカー、黒穂病抵抗性、人為制御交配、育種プロセス
課題番号
27017C
研究グループ
農研機構九州沖縄農業研究センター、鹿児島県農業開発総合センター、沖縄県農業研究センター、トヨタ自動車(株)
研究総括者
農研機構九州沖縄農業研究センター 老田 茂
研究タイプ
現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
DNAマーカーを活用した新たなサトウキビ育種プロセスの構築(PDF : 987.2KB)

1 研究の目的・終了時達成目標

サトウキビ生産安定化のため、最新のゲノム情報解析で得られたDNAマーカー選抜技術をサトウキビ育種に導入する。育種現場に実装可能なDNAマーカー検出、及び選抜体制の確立及び人為制御交配技術によるDNAマーカー集積の実現を柱とする新たな育種プロセスを構築する。特に、重要病害であるサトウキビ黒穂病に対する抵抗性品種の育成において、利便性の高いDNAマーカーを開発し、DNAマーカー選抜によって抵抗性レベルを少なくとも10%以上向上させる効果を実証する。

2 研究の主要な成果

(1)サトウキビ黒穂病抵抗性に関与する4つの代表的なQTLの有無を判定するための選抜マーカーを開発するとともに、マーカーで選抜した系統の黒穂病抵抗性検定を行い、抵抗性弱以下(病徴発生株率50%超)の系統出現率が10%以上低減したことから、DNAマーカーの選抜効果を確認した。

(2)効率的なサトウキビ葉片からのDNA試料調製法およびマルチプレックスでの黒穂病抵抗性DNAマーカー検出法を確立し、これらの成果に基づきサトウキビ黒穂病抵抗性DNAマーカー選抜実験マニュアルを作成した。

(3)日長処理手法によって、マーカー集積効果の検証に向けた交配種子の獲得に成功し、出穂誘起・出穂期同調を図るための材料養成から蔗齢調整を含む、一連の交配工程図を作成した。

(4)これらの技術を統合し、これまでDNAマーカー技術の導入が難しかったサトウキビ育種に、DNAマーカー育種プロセス手順書を作成した。

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1)サトウキビ黒穂病抵抗性DNAマーカー選抜実験マニュアルとDNAマーカー育種プロセス手順書をサトウキビ育種現場で普及させる。

(2)DNAマーカー選抜により、黒穂病抵抗性の品種開発を効率化させる。また、茎数など収量形質へのDNAマーカー選抜の適用も検討する。

【今後の開発・普及目標】

(1)2年後(2019年度)はさとうきび育成系統のDNAマーカー選抜を開始する。

(2)5年後(2022年度)はDNAマーカー選抜した系統の品種化を検討する。

(3)最終的には8年後(2025年度)に、DNAマーカーで選抜した新品種の出願を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

(1) 開発したDNAマーカー育種プロセスを用いて育成された黒穂病抵抗性の新品種により、平均単収が1t/10a増加すれば、日本国内のサトウキビは23万t増産でき、食糧自給率の向上に寄与できる。

(2) 平均単収の増加によって、国内のサトウキビ生産額が現在の約200億円から247億円に、年間約47億円増加すれば、南西諸島の経済活性化に寄与できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構九州沖縄農業研究センター産学連携室

TEL 096-242-7682

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