中山間の未利用有機性資源を活用した人にも環境にもやさしい土壌消毒技術の実用化
- 課題番号
- 27016C
- 研究グループ
- 農研機構西日本農業研究センター、みのる産業株式会社、
奈良県農業研究開発センター、広島県立総合技術研究所
農業技術センター、山口県農林総合技術センター、徳島県立農林水産総合技術支援センター、山形大学農学部 - 研究総括者
- 農研機構 西日本農業研究センター 竹原 利明
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 中山間の未利用有機性資源を活用した人にも環境にもやさしい土壌消毒技術の実用化(PDF : 1047.5KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
中山間地域では、経営多角化のために導入した園芸作目の土壌伝染性病害による被害が深刻であり、また、耕作放棄地の拡大が問題となっている。化学農薬を用いない防除手法の一つとして緑肥作物等を用いた土壌還元消毒があるが、普及のためには消毒資材の安定的確保、詳細なメカニズム解明、作業の軽労化等が必要である。本研究は、地域の豊富なバイオマスを活かし、上記課題の解決により本土壌消毒法の実用化を目指す。
2 研究の主要な成果
(1)中山間の耕作放棄地の雑草や、そこで栽培した植物(ソルガム等)を利用した土壌還元消毒法を開発した。
(2)土壌還元消毒の効果に関わる偏性嫌気性細菌(クロストリジウム菌)を同定し、性状と機能を解明した。
(3)消毒資材植物の細断同時すき込み機、および、大面積の露地における被覆設置および除去の機械と技術を開発した。
(4)各種有機物用いた土壌還元消毒の、ホウレンソウ萎凋病、トマトかいよう病、レンコン腐敗病、レタスビッグベイン病に対する効果を明らかにした。
公表した主な論文
Ueki, A. et al. Degradation of the fungal cell wall by clostridial strains isolated from soil subjected to biological soil disinfestation and biocontrol of Fusarium wilt disease of spinach. Appl. Microbiol. Biotechnol. 101, 8267-8277 (2017).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)現地実証展示圃や栽培講習会を実施し、本技術による土壌還元消毒技術を紹介する。
(2)生産者圃場で本技術による土壌還元消毒を実施する。それにより、対象地域の生産者および生産グループが主体となった技術導入を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、開発した機械および開発技術の実用化を進める。
(2) 5年後(2022年度)は、各種土壌病害の発生現場へ開発技術の普及を進める。
(3) 最終的には、各地の病害発生現場の10~20%で当事業の開発技術が使用されることを目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 土壌病害発生地で未利用資源を活用した土壌還元消毒が実施されることで、土壌消毒コストの削減や土壌病害による被害軽減が図られ、生産者の所得の増加が期待される。本事業で実施したホウレンソウ、トマト、レンコン、レタスのみならず、他作物への波及も期待できる。
(2) 中山間の未利用有機性資源を活用した、人にも環境にも優しい土壌消毒技術の実用化により、農産物の品質の向上や国民の安全・安心、地球環境の保護と持続的成長が実現できる。
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