半炭化処理による高性能木質舗装材の製造技術開発
- 課題番号
- 27014C
- 研究グループ
- 森林総合研究所、奈良県森林技術センター、東北工業大学
ニチレキ(株)、(有)地域資源活用研究所 - 研究総括者
- 森林総合研究所 吉田 貴紘
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 半炭化処理による高性能木質舗装材の製造技術開発(PDF : 1030.8KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
半炭化処理(250℃前後の低温炭化処理)による改質効果で木材の欠点を改良し、長寿命で環境負荷の小さい、高性能な木質舗装材の製造、利用技術を開発することを目的とする。このため、耐用年数20年、50%軽量化(アスファルト舗装材比)を実現して使用後は燃料としてサーマル利用して燃焼灰を肥料等の資材として利用できる完全リサイクル舗装材を開発するとともに、開発品の試験施工、利用実証から地域内で製品利用するシステムを立案することを達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1)木材チップの高耐朽性と高強度を両立する最適な半炭化処理法と常温施工可能な接着材との組み合わせで、耐用年数20年、アスファルトコンクリート舗装比50%軽量の高性能木質舗装材の製造技術を開発した。
(2)開発品をリサイクル利用する上での燃焼性状、燃焼灰溶出挙動を明らかにして、重金属溶出抑制技術を開発した。
(3)国内4箇所で開発品を試験施工し、その利用実証試験から、開発品はクッション性に優れて歩きやすいことを明らかにした。
(4)製品展開として3種類を提示し、地域内で舗装材を製造・利用するシステムを提示した。
公表した主な特許・品種・論文
(1) 特願 2017-60391 高耐久性木材の製造方法(伊藤貴文:奈良県森林技術センター)
(2) 吉田貴紘.次世代炭焼き「トレファクション」による木質バイオマスの地産地消. 山林, No1597, 20-27 (2017)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)国内4箇所の試験施工に加えて、宮城県気仙沼地域にて炭化工場で半炭化チップを製造し、地元建設会社が、地元のトマト売店前でロゴ入り半炭化木質舗装を2016年10月に施工し、現在も利用実証中。
(2)公園、遊歩道、駐車場、外構への舗装、および屋上緑化代替品などとして製品導入をすすめて、土木分野への新たな木材利用法として需要を創出し、地域に眠る未利用材の活用を図る。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、設定したパイロット地域にて公共、民有地へ木質舗装材を施工する。半炭化木材チップの多用途化をすすめ、半炭化処理の事業化を図る。
(2) 5年後(2022年度)は、カラーアスファルト舗装以下のコスト(標準仕様で8,000円/m2)で施工して、地域の木質資源を活用でき、歩きやすく、燃料へカスケード利用できる環境調和型舗装として、普及を図る。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 地域からの間伐材、剪定枝を原料に地元企業が木質舗装材を施工できることから地域内に雇用を創出して2,000億円の経済効果を、アスファルト舗装廃材活用(石油アスファルト8万t削減)と燃焼灰再利用で環境負荷低減効果を期待できる。
(2) 開発品は歩行時の体への負担が少なく、リサイクル可能であり、人や環境に優しい材料として国民生活へ貢献できる。
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森林総合研究所
(吉田貴紘)
TEL 029-829-8306
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