このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

温室における冬の省エネと夏の環境改善はナノファイバーが解決する

年度
2018
ステージ
実用技術
分野
農業(栽培)
適応地域
全国
キーワード
トマト・ガーベラ、被覆資材、省エネルギー、暑熱対策、ヒートポンプ
課題番号
27013C
研究グループ
農研機構西日本農業研究センター、京都工芸繊維大学、
静岡県農林技術研究所、ナノマトリックス、東京インキ
研究総括者
農研機構西日本農業研究センター 川嶋 浩樹
研究タイプ
現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
温室における冬の省エネと夏の環境改善はナノファイバーが解決する(PDF : 982.3KB)

1 研究の目的・終了時達成目標

施設園芸では暑熱対策と省エネ対策が急を要する課題である。省エネ資材として普及が期待される多層断熱資材は高い断熱性が特徴である。その断熱性を活用して、急速に普及しているヒートポンプを組み合わせることにより、夏の夜間冷房による可販収量向上と冬の省エネによる暖房経費削減により高収益安定生産技術を確立する。加えて、ナノファイバーの特性を活かして取扱い性(軽量化等)を向上させた多層断熱資材を開発する。

2 研究の主要な成果

(1) 開発したナノファイバー製造装置は、エアーの温度を制御することで平均繊維径分布の異なるナノファイバーを量産でき、被覆資材に対応した幅広のシートを製造できる

(2) ナノファイバー断熱資材は現行の多層断熱資材と比較して重さは約80%、厚さは約40%にまで軽量・薄型化され、収束性に優れ断熱性能は現行品とほぼ同等であり、冷暖房負荷および冷房負荷を軽減される効果がある。

(3) 開発したナノファイバー断熱資材は、表地(トップシート)でナノファイバーの綿を挟んでキルティング加工した多層構造の保温資材である。

(4) トマトおよびガーベラの品質および可販収量は、夜間冷房によりそれぞれ向上することから、冷暖房コストの削減と可販収量の向上による増益効果が期待される。

公表した主な特許・品種・論文

(1)特願 2017-140212 被覆資材の開閉方式(川嶋浩樹他:農研機構西日本農業研究センター)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1)開発したナノファイバー断熱資材については早期に市販化し、構築した販売スキーム(販売、レンタル、リース)を活用して、普及を図る。ナノファイバー製造装置については3機の導入実績があり普及を進める。

(2)ナノファイバー断熱資材を利用した栽培技術については、作成したマニュアルの配布やセミナー開催を通して、生産現場への普及を推進する。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年)は、開発資材の販売体制の強化および用途開発を進め普及促進をはかる。

(2) 5年後(2022年)は、国内を対象に普及を進め、10haへの導入を目指す。

(3) 最終的には、施設園芸における標準装備品として認知されるようさらに普及活動を進める。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

(1) ナノファイバー断熱資材が10haに導入されることにより、暖房燃料使用量が半減され、燃料経費の削減効果は年間で52百万円(導入費用は26.5百万円)と見込まれ、二酸化炭素排出量の削減にも貢献できる。

(2) 本研究の成果を活用した栽培管理技術の普及により、省エネルギー化が進むとともに、高温期においても、新鮮で多様な野菜・花きを安定的に供給し、国民の豊かな食生活に貢献できる。また、地域の雇用創出にも貢献できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構西日本農業研究センター

E-mail:w-renkei[at]ml.affrc.go.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 084-923-5231

同じ分野の研究成果

農業
水稲
洗練かつ高効率化したゲノム編集およびエピゲノム編集による超迅速イネ育種法の開発
農業
水稲
「ひとめぼれ」大規模交配集団を用いた有用遺伝子単離と遺伝子相互作用解明
農業
野菜
イチゴの輸送適性に優れる品種育成を迅速に実現するゲノム育種法開発
農業
野菜
イチゴの遺伝子解析用ウイルスベクターの構築と利用技術の開発
農業
生産資材
耐病性向上および根寄生雑草防除に活用するための菌根菌共生最適化技術の開発

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader