輸出入植物検疫処理の円滑化等に資する新たなくん蒸技術の確立
- 課題番号
- 27012C
- 研究グループ
- 農研機構果樹茶業研究部門、(一社)日本くん蒸技術協会、長野県果樹試験場、山梨県果樹試験場、山口県農林総合技術センター、愛媛県農林水産研究所、大分県農林水産研究指導センター
- 研究総括者
- 農研機構果樹茶業研究部門 三代 浩二
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 輸出入植物検疫処理の円滑化等に資する新たなくん蒸技術の確立(PDF : 992.0KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
植物検疫で使用される臭化メチル代替技術として、生果実輸出で問題となる害虫の圃場防除技術、ヨウ化メチル及びリン化水素による新たなくん蒸技術を開発する。貯蔵穀物のリン化アルミニウムによる新たなくん蒸技術の開発を目的とする。このため、モモ、カンキツ、ブルーベリー生果実の輸出で問題となる害虫の圃場防除技術を開発するとともに、2種くん蒸剤の殺虫、果実障害等の試験を行い、くん蒸基準(案)を作成する。穀類害虫では、サイロ空間部にリン化アルミニウム剤を配置する“空間部投薬循環くん蒸法”を確立する。
2 研究の主要な成果
(1) サイロにおける穀物類のリン化アルミニウム空間部投薬循環技術を開発した。
(2) モモ、カンキツ、ブルーベリー等についてヨウ化メチルによる生果実くん蒸技術を確立し、害虫と果実品目・品種の組み合わせで完全殺虫効果と薬害の未発生を両立できる「くん蒸基準(案)」を作成した。
(3) モモ、カンキツ、ブルーベリーについて収穫前に被害を可能な限り防ぐため、対象害虫(並び順にミカンキイロアザミウマ・シンクイムシ類、ミカンバエ、オウトウショウジョウバエ)の圃場で防除する技術を開発した。
(4)ヨウ化メチルくん蒸技術とリン化アルミニウムくん蒸技術の2部のマニュアル及び、これらの簡易版と圃場での防除技術をまとめた成果事例集を作成した。これらは、今後の普及活動に活用する。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)生果実のヨウ化メチルくん蒸技術及び穀物類のリン化アルミニウム空間部投薬技術の成果を、各地で関係者向けに情報を提供した。今後も関係機関等への技術指導を含め普及・啓蒙を継続する。
(2)リン化アルミニウムくん蒸技術については、講習会等で実用化に向けた要望が多数寄せられていることから、早期の普及を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、マニュアルによるくん蒸技術の紹介と現場で実用くん蒸技術等を指導する。
(2) 5年後(2022年度)は、くん蒸に関する規則が策定され現地でくん蒸処理施設等の整備が進む。
(3) 最終的には、生果実の輸出が拡大し、穀物ではリン化アルミニウム空間投与法がサイロでのくん蒸の主流となる。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1)リン化アルミニウム空間投与法は従来法と比べ1日で18倍のサイロを処理でき、さらに1本あたりのコストは約40%カットできることで本手法が普及し穀物くん蒸の主流になることによる経済効果は非常に大きい。
(2) 生果実の輸出拡大により、輸出向けに限らず国内消費向け果実も増産が見込まれ産地が活性化するとともに、安価でおいしい果実が食せるようになり国民の健康維持に貢献できる。
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農研機構果樹茶業研究部門
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