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農林水産技術会議

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登録農薬の少ない地域特産作物(マイナー作物)における天敵利用技術の確立

年度
2018
ステージ
発展
分野
農業(病害虫)
適応地域
西日本
キーワード
オクラ・エンドウ、IPM 、天敵温存植物、土着天敵、露地野菜
課題番号
27009B
研究グループ
農研機構九州沖縄農業研究センター・野菜花き部門・西日本農業研究センター、鹿児島県農業開発総合センター、宮崎大学
研究総括者
農研機構九州沖縄農業研究センター 水谷 信夫
研究タイプ
産学機関結集型 Bタイプ
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
登録農薬の少ない地域特産作物(マイナー作物)における天敵利用技術の確立(PDF : 1117.2KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

地域特産作物(マイナー作物)では、有効な登録農薬が少ないことから、化学農薬のみに頼らない防除技術の開発が求められている。このため、オクラ(春夏作物)とエンドウ(秋冬作物)をモデル作物として、露地栽培作物での天敵温存植物を利用した土着天敵の保護および活動強化技術を開発するとともに、化学農薬を減らすと増加する可能性(顕在化リスク)がある害虫にも対応し、化学的防除や物理的防除を合理的に組み込んだ露地栽培作物でのIPM技術を確立することを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

(1) オクラにおいて、ソルゴーやバジル類などの複数の天敵温存植物を組み合わせることにより、アブラムシ類の発生初期から土着天敵の機能を強化し、農薬の散布回数を3分の1に削減できた。

(2)エンドウにおいて、アザミウマ類には捕食性カメムシ類、ハモグリバエ類には寄生蜂を有力な土着天敵として選抜し、ソバ、バジル類、カラシナ類を天敵温存植物として用いた機能強化技術を開発した。

(3)オクラ、エンドウともにチョウ目害虫を顕在化リスクがある害虫としてリストアップするとともに、土着天敵による密度抑制効果の可能性を示した。

(4)オクラ、エンドウについて、IPM技術体系を普及させるための鹿児島県版マニュアルを作成した。

公表した主な特許・論文

(1)柿元一樹他.オクラのワタアブラムシに対する土着天敵の保護・強化法による生物的防除の有効性I. ヒラタアブ類の誘引に適したバジル数種類の比較 関西病虫研報 58, 41-44 (2016).

(2)柿元一樹他.異なる作物上における捕食性天敵スワルスキーカブリダニ(ダニ目:カブリダニ科)の定着と増殖の差異 応動昆 61, 223-232 (2017).

(3) 柿元一樹他.鹿児島県指宿市のエンドウおよびソラマメ栽培地域におけるハモグリバエ類の土着寄生蜂相 九病虫研報 63, 46-54 (2017).

3 今後の展開方向

(1)作成した鹿児島県版IPM技術マニュアルによって鹿児島県で技術の普及を図るとともに、各産地の気候・栽培環境などに適応した地域対応型マニュアルを作成し普及を図る。

(2)全国を対象とした天敵温存植物の生育特性の整理を行うとともに、選抜した草種を組み合わせた“天敵温存植物セット”を開発し、その流通体制を確立することで技術の一般化を加速する。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年度)は、主産地の鹿児島県を中心に普及を開始し、他産地では課題抽出と技術の改善を図り、地域対応型マニュアルの基盤を築く。

(2) 5年後(2022年度)は、地域対応型マニュアルに基づいて全国での普及を推進予定。

(3) 最終的には、露地栽培作物の天敵利用モデルとして全国の様々な品目(約2万ha)で展開予定。

4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献

(1) これまで主に施設栽培野菜で開発されてきたIPM技術を露地野菜に拡大することで、農業者所得の向上および消費者が強く求めている「安心・安全」な農作物の生産に大きく寄与できる。

(2) IPM技術の普及により、鹿児島県のオクラ・スナップエンドウの出荷量が10%増加することで2.5億円の経済効果が認められ、更に、全国の地域特産作物に展開することで120億円の経済効果が期待できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

九州沖縄農業研究センター

E-mail:nobuo[at]affrc.go.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 096-242-1150

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