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農林水産技術会議

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グリーニング病根絶を加速する多検体・高感度診断技術及び媒介虫防除技術の高度化

年度
2018
ステージ
実用技術
分野
農業(病害虫)
適応地域
九州、沖縄
キーワード
カンキツ、グリーニング病、根絶、遺伝子検査、ハザード評価
課題番号
27007C
研究グループ
農研機構果樹茶業研究部門、農研機構九州沖縄農業研究センター
国立沖縄工業高等専門学校、鹿児島県農業開発総合センター、
沖縄県病害虫防除技術センター、株式会社ペコIPMパイロット
研究総括者
農研機構果樹茶業研究部門 藤川 貴史
研究タイプ
現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
グリーニング病根絶を加速する多検体・高感度診断技術及び媒介虫防除技術の高度化(PDF : 1031.1KB)

1 研究の目的・終了時達成目標

世界中のカンキツ産業に影響を及ぼしているカンキツグリーニング病について、国内の発生地における本病害の根絶やフリーエリア拡大を加速するために、行政機関が実施している検査法や媒介虫防除技術の高度化を目的とする。このため、検査試料の処理法の高度化、遺伝子検査の多検体・高感度化、環境にやさしい媒介虫(ミカンキジラミ)防除技術の開発、沖縄に自生し二次伝染源となることが疑われるゲッキツのハザード評価の実施を達成目標とする。

2 研究の主要な成果

(1) サンプル葉の衝撃波による簡便な多検体破砕処理装置及び核酸抽出技術を開発し、遺伝子検査を可能とした。これにより、根絶確認のためのカンキツの遺伝子検査を省力化・低コスト化できる。

(2) 薬剤を浸透させた生分解性バイオポリマーをゲッキツに巻き付けるだけで、ミカンキジラミを防除できる手法を開発した。薬剤を散布しないため、環境負荷の少ない媒介虫防除に利用できる。

(3) 国内のグリーニング病発生地にあるゲッキツが二次伝染源となるリスクは、ミカンキジラミの防除を行った場合、極めて低いことを明らかにした。このため、グリーニング病根絶確認のための遺伝子検査の対象はカンキツのみで良いと考えられる。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 特願 2017-025496 リベリバクター属細菌を培養および検出するための培地、キットおよび検出方法
(藤川貴史:農研機構果樹茶業研究部門、藤原和樹:農研機構九州沖縄農業研究センター)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 知財化した技術等は、関係機関や民間検査会社等に情報提供し、新しい遺伝子検査法や害虫防除技術として実装できるよう積極的な活用を目指す。同時に本研究成果が国内のグリーニング病根絶に貢献できるように行政機関とも更なる連携を進める。

(2) 園地に植生している宿主植物の二次伝染源としてのハザード評価の手法等、本研究で得られたノウハウを用いたリスクコミュニケーション活動を促進できるように、行政機関や農業法人等への宣伝活動を進める。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年)は、知財化した技術による事業化やキット化による製品化を目指す。

(2) 5年後(2022年)は、世界中のカンキツグリーニング病等の遺伝子検査で利用されるよう目指す。

(3) 最終的に、日本国内でカンキツグリーニング病の被害が無いカンキツ生産体制を構築する。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

(1) 国内外の植物に関わる検査が迅速化・簡便化され、低コスト化が期待できる。とくに多量の検体を恒常的に遺伝子検査を行う必要のある場において、本研究で開発した装置や手法が普及することが期待できる。

(2) カンキツグリーニング病の根絶が進み、カンキツ産業の活性化に繋がる。また、シークワシャーやタンカン、島ミカン等地域特有のカンキツの栽培と流通が増大することが期待できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構果樹茶業研究部門

藤川貴史
E-mail:ftakashi[at]affrc.go.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 029-838-6544

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