産地に応じて抵抗性品種と薬剤防除を適宜利用するイネ縞葉枯病の総合防除技術の開発
- 課題番号
- 27002C
- 研究グループ
- 農研機構中央農業研究センター、茨城県農業総合センター、
埼玉県農業技術研究センター、兵庫県立農林水産技術総合センター、福岡県農林業総合試験場 - 研究総括者
- 農研機構中央農業研究センター 柴 卓也
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 産地に応じて抵抗性品種と薬剤防除を適宜利用するイネ縞葉枯病の総合防除技術の開発(PDF : 992.2KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
近年、イネ縞葉枯病の媒介虫であるヒメトビウンカの発生が増加し本病の被害面積が拡大しており、それぞれの地域の特徴に応じたイネ縞葉枯病とヒメトビウンカの持続的な防除対策が必要となっている。このため、品種、作型等が異なる複数の地域において本病の発生と被害の実態を分析・評価し、それぞれの状況に応じて化学的防除、抵抗性品種利用、圃場管理等の技術を組み合わせた総合防除技術を構築するとともに、開発した技術を「イネ縞葉枯病の総合防除マニュアル」としてとりまとめ公開する。
2 研究の主要な成果
(1) イネ縞葉枯病のまん延と媒介虫の世代の関係を明らかにし、化学的防除を行う際の防除のポイントを明確にした。
(2) イネ縞葉枯病による被害を軽減するためには、収穫後に水田を耕起して媒介虫の越冬場所となるひこばえや雑草を取り除くことが重要であることを明らかにした。
(3) イネ縞葉枯病が多発する茨城県、埼玉県、兵庫県、福岡県において、それぞれの地域の特徴に応じて化学的防除、抵抗性品種利用、圃場管理等の技術を組み合わせた総合防除技術を構築した。
(4)イネ縞葉枯病の総合防除マニュアルを作成・公開した。
公表した主な特許・品種・論文
(1) Shiba, T. et al. Seasonal Changes in the Percentage of Rice Stripe Virus Viruliferous Laodelphax striatellus (Hemiptera: Delphacidae) in Paddy Fields in Japan. J. Econ. Entomol. 109時10分41-1046 (2016) .
(2) Shiba, T. et al. Spread and yield loss mechanisms of rice stripe disease in rice paddies. Field Crop. Res. 217: 211-217 (2018).
(3) イネ縞葉枯病の総合防除マニュアル(https://ml-wiki.sys.affrc.go.jp/rsv_web/manual/start ) (2017)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1)イネ縞葉枯病発生地域における総合防除技術の講習や実証等により、速やかな技術の普及を図る。
(2)イネ縞葉枯病の総合防除マニュアルについては、随時改訂を行い、より実効性の高いものを目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年度)は、イネ縞葉枯病発生地域における総合防除技術の講習や実証等を推進する。
(2) 5年後(2022年度)は、国内全ての発生地域に防除マニュアルに準じた総合防除技術の普及を図る。
(3) 最終的には、総合防除技術の利用・普及により、本病による被害を現在の10%以下に抑制する。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 高品質な作物の安定生産により競争力の強化と経営安定を望む生産者の生活に貢献する。
(2) 高品質かつ安全・安心な米の安定供給をもとめる消費者の生活に貢献する。
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