米油原料用イネの作出と利用に関する研究・開発
- 課題番号
- 27001B
- 研究グループ
- 九州大学大学院農学研究院、(株)サタケ、農研機構
次世代作物開発研究センター、福岡県農林業総合試験場、
築野食品工業(株) - 研究総括者
- 九州大学大学院農学研究院 熊丸 敏博
- 研究タイプ
- 産学機関結集型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 米油原料用イネの作出と利用に関する研究・開発(PDF : 765.4KB)
1 研究の目的・終了時の達成目標
米油はおいしさに優れ、高い加工適性や高い保健機能を有する国産植物油として、高い需要があるが、需要に対して生産量が不足している。この課題に対し、(1)単位玄米重当りの糠部位と米油の生産量を2倍に増加させる、(2)糠の貯蔵性を向上させる、(3)高含油性及び低脂肪分解性について各3系統の中間母本イネを開発する、ことを達成目標とする。また、油糧米系統を効率的に選別するための微量脂質定量法、開発した油糧米系統に最適な搗精法と実用的な製油適性評価法を確立する。
2 研究の主要な成果
(1) 多収品種を母本として、単位玄米重当りの米原油(米油の原料)生産量が増加した系統を開発した。高含油系統としてその他3系統を開発した。
(2) 糠の貯蔵性を向上させる低脂肪分解性系統として、米糠中の遊離脂肪酸含量の低い系統を含む3系統を開発した。
(3) 微量から大量、基礎研究から実用開発研究まで対応できる画期的な油糧米系統の評価技術を確立した。
(4) 開発した系統の玄米から米油抽出用の原料糠を効率的に採取する搗精法を開発した。
公表した主な特許・論文
(1) Sakata, M. et al. Development and evaluation of rice giant embryo mutants for high oil content originated from a high-yielding cultivar ‘Mizuhochikara’, Breeding Science, 66, 425-433 (2016)
(2) Nagamoto, J. et al. Rapid semi-quatification of triacylglycerol, phosphatidylcholines and free fatty acids in rice bran of one grain , Journal of Integrative Agriculture (受理)
3 今後の展開方向
(1) 開発した系統を他の多収品種に導入した系統を開発し、単位面積当りの米油生産量の飛躍的な増大を立証する。
(2) 品種の高付加価値化を進めるため、良食味性等の特性を付与した系統の開発と安定的に高品質な米糠を確保するための栽培条件を確立する。
(3) 開発した系統を品種化し、油糧米品種として普及をはかる。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2020年)は、高含油性を付与した新規系統を開発する。
(2) 5年後(2023年)は、上記系統及び低脂肪分解性系統を品種登録出願する。
(3) 最終的には、高含油・低脂肪分解品種を普及させることで、玄米7万トンの生産と販売が見込まれる。
4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 高含油・低脂肪分解品種の糠から米油1,700トンが生産され、米油として4.7億円の経済効果が見込まれる。胚乳部は炊飯用・加工用等として112億円以上の経済効果が見込まれる。
(2) 生産者には単位面積当りの増収益を、国産米油の増産により米油が普及し国民の健康増進に資する。
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