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農林水産技術会議

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北海道草地の植生を改善し高品質粗飼料生産を可能とする牧草品種の育成

年度
2018
ステージ
実用技術
分野
農業(牧草)
適応地域
北海道,東北
キーワード
チモシー・ガレガ・フェストロリウム、牧草、品種育成、栽培手引き、北海道
課題番号
26091C
研究グループ
(国研)農研機構北海道農業研究センター、(独)家畜改良センター新冠牧場、同岩手牧場、(地独)道総研北見農業試験場、同根釧農業試験場、同畜産試験場、同上川農業試験場天北支場、(地独)青森県産業技術センター畜産研究所、ホクレン農業協同組合連合会、雪印種苗株式会社、北海道農政部生産振興局技術普及課、道東あさひ農業協同組合、滝上町酪農組合
研究総括者
(国研)農研機構北海道農業研究センター 奥村 健治
研究タイプ
育種対応型 Aタイプ
研究期間
平成26年~29年(4年間)
PDF版
北海道草地の植生を改善し高品質粗飼料生産を可能とする牧草品種の育成(PDF : 1136.1KB)

1 研究の目的・終了時達成目標

自給飼料生産基盤である草地の収量、品質の向上をもたらす新たな品種の開発を目的とする。このため、チモシーでは多収で混播適性に優れる極早生品種の育成、ガレガでは初期生育性が向上し定着性に優れる品種の育成と安定栽培のための栽培手引きの作成、フェストロリウムでは土壌凍結地帯でも栽培可能な越冬性に優れる品種の育成を行う。達成目標は優良普及品種を標準として、それぞれ年間乾物収量が5%以上多収、また、それぞれの利用形態に合わせた混播適性や越冬性などが標準を上回ることとする。

2 研究の主要な成果

(1) チモシーでは「北見33号」を育成した。極早生で、標準品種「クンプウ」と比べ、越冬性が同程度以上、収量は北海道内平均で7%多収、斑点病抵抗性、混播栽培に必要な競合力が優れることを明らかにした。

(2) フェストロリウムでは「北海1号」を育成した。ペレニアルライグラスより大幅に越冬性が高く、メドウフェスクより多回刈において8%多収であり、放牧適性、飼料成分も優れることを明らかにした。

(3)ガレガについては安定栽培を可能とする地域別の草地管理ポイントをまとめた栽培手引きを作成した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) 品種登録出願 フェストロリウム「北海1号」を品種登録出願(H30年1月) (出願者名(国研)農研機構、(地独)道総研、雪印種苗)

(2) 品種登録出願 チモシー「北見33号」を品種登録出願予定(H30年4月) (出願者名(地独)道総研、ホクレン農業協同組合連合会)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1)フェストロリウム「北海1号」は2016年度に、チモシー「北見33号」は2017年度に北海道の優良品種に認定された。両品種の品種登録出願と市販に向けた種子の増殖を開始する。

(2)ガレガでは栽培手引きに従った安定定着を生産者に指導する。チモシー、フェストロリウムでは種子の市販化までの期間に特性を活かせる実証展示圃を設置して、普及に努める。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年度)は、品種登録出願と市販化に向けた海外採種の元となる原種種子の採種を実施する。

(2) 5年後(2022年度)は、種子の市販を開始し、チモシーでは青森県で奨励品種候補に提案する。

(3) 最終的には、チモシーでは22,000ha、フェストロリウムでは3,000haの普及面積を見込む。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

(1) チモシー「北見33号」およびフェストロリウム「北海1号」の普及によるTDN増収分を、サイレージ生産コストの節減および代替輸入乾牧草代として換算すると、約9億円の経済効果が見込まれる。

(2) 収量性向上と地域の課題であった草地植生の維持・改善を通じて良質な自給粗飼料の生産性向上、ひいては北海道の基幹産業である酪農経営の安定化に貢献できる。国民には高品質な畜産物の安定供給をもたらし、地域では飼料生産支援組織等での雇用維持により地域経済へも貢献しうる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

農研機構北海道農業研究センター

TEL 011-857-9212

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