「南予地域発」新規マグロ類「スマ」の早期種苗完全養殖システムの構築
- 課題番号
- 26083C
- 研究グループ
- 愛媛大学南予水産研究センター、愛媛県水産研究センター、水産研究・教育機構
- 研究総括者
- 愛媛大学南予水産研究センター 松原 孝博
- 研究タイプ
- 重要施策対応型
- 研究期間
- 平成26年~28年(3年間)
- PDF版
- 「南予地域発」新規マグロ類「スマ」の早期種苗完全養殖システムの構築(PDF : 1586.6KB)
1 研究の背景・目的・成果
愛媛県は本邦屈指の魚類養殖基地であるが、国民の魚ばなれや餌代の高騰などにより、養殖生産高は低迷に追い込まれている。その一方で、マグロ類や養殖サーモンの人気はますます高まる傾向にある。そこで、本研究では、商品価値の高い小型マグロ類「スマ」に焦点を当て、最新の養殖技術開発によって本種の養殖システムを確立し、地域振興の期待に応えることを目的とした。 研究成果として、スマの「完全養殖」及び「早期採卵・種苗生産」に成功し、試験養殖を通して実用化を達成した。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 若齢魚(産卵時1歳10か月)の環境制御による早期成熟の誘導技術を開発した。
(2) ホルモン投与による人為催熟によって、天然の産卵期よりも2か月程度早く産卵させる早期産卵を実現した。これによって得られた「完全養殖」受精卵総数は期間中100万粒を大きく超え、目標に到達した。
(3) 早期採卵誘導卵を用いて14,750尾の「完全養殖」種苗生産に成功し、最終目標である5,000尾を大きく上回る成果を得た。
(4) マイクロサテライトDNAマーカーによる親子鑑定技術を開発し、早期産卵群の親子鑑定実証に成功した
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 2015年度にはスマ早期種苗生産を、 2016年度にはさらに「完全養殖」による早期種苗生産を達成し、量産への道を開いた。
(2) 2015年度、2016年度に生産された種苗は民間による試験養殖に供され、2016年春から試験販売が開始された。
(3) 県産養殖魚のファミリー・ブランド「愛育フィッシュ」(県産養殖魚の総称:県が商標登録済)の新顔「伊予の媛貴海:ヒメタカミ」としてプロダクト・ブランド名が与えられた(県が商標登録出願済) 。
【普及目標】
(1) 2017年は、中間育成後の早期種苗 (体長10cm以上)を1万5千尾生産し、民間養殖する計画。
(2) 2018年は、中間育成後の早期種苗 (体長10cm以上)を2万尾生産し、民間養殖する計画。
(3) 3~5年後には、中間育成後の早期種苗 (体長10cm以上)を5万尾以上生産することを目標。
(4) 将来的には、20億円以上の産業創出を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
「天然資源に依存しないマグロ類スマの養殖」に対する研究・技術開発は、水産国日本が負う海洋資源の永続的管理と海洋性タンパク質の安定供給の責任の一端を果たす。加えて、持続性を加味した安心・安全な食品の確保を国民に伝えられる「地域発の環境にやさしい水産イノベーション」となる。

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