世界初の身が2倍の優良品種「ダブルマッスルトラフグ」の量産化システムの構築
- 課題番号
- 26039BC
- 研究グループ
- 水産研究・教育機構、マリンテック株式会社、
- 研究総括者
- 水産研究・教育機構 吉浦 康寿
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 世界初の身が2倍の優良品種「ダブルマッスルトラフグ」の量産化システムの構築(PDF : 1313.0KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
天然のトラフグ漁獲量が激減する中、安定供給できる養殖業への期待は大きい。そこで、従来よりも「身が多く、早く出荷できる」トラフグを作出し、その量産化を目的とした。そこで、(1)高産肉性(ダブルマッスル)、高成長が期待できる遺伝子に着目して、個体を選抜し、優良品種の元となる親魚を作出する、(2)品種をより早く作出するため、代理親魚技術を導入し、時間のかかる次世代作出期間の短縮、を達成目標とする。
2 研究の主要な成果
(1) 遠隔地の生産現場と遺伝子変異解析のパイプラインを構築することで、全国どこの生産現場でも、ゲノム育種(TILLING法※)による高産肉性、高成長の新品種の作出を可能にした。
(2)高産肉性、高成長が期待できる遺伝子に特徴を持つトラフグ親魚の作出に成功し、これらの有用遺伝子が子孫へ伝達することを確認した。
(3) 凍結生殖細胞を用いた代理親魚技術を確立し、品種作出時間の短縮のみならず、品種の保存法として活用できることを明らかにした。
(4)トラフグの代理親魚となるクサフグの周年生産技術を確立し、代理親魚技術と合わせることで、年間を通じて優良品種トラフグの生産を可能にした。
:植物で開発された化学物質等によって誘発した突然変異から有用な形質を特定する育種法
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) ダブルマッスルおよび高成長トラフグの成長特性、餌料効率等の養殖特性を解明するとともに、品質(味、食感、機能性等)を分析し、安全性を確認した上で、産業化に向け検討。
(2) 陸上養殖との組み合わせで、より効率の高い養殖技術を開発する。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年)は、ダブルマッスルおよび高成長トラフグの試験生産、品質評価を開始する。
(2) 5年後(2022年)は、ダブルマッスルおよび高成長トラフグの実用化段階に向けた技術開発を開始する。
(3) 最終的には、ダブルマッスルおよび高成長トラフグの産業化を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 全国のトラフグ養殖業者への供給で、現状より1.5倍の120億円へと拡大できる。他魚種への本技術の普及により、現在、2,000億円規模の国内における魚類養殖生産額を増大させる。
(2) 最先端の養殖技術を導入した陸上養殖システムにより、全国の消費者・養殖業者に、環境に影響されない安心・安全な魚を提供できる。

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