海の中から消費までをつなぐ底魚資源管理支援システムと電子魚市場の開発
- 課題番号
- 27011C
- 研究グループ
- 道総研稚内水産試験場、公立はこだて未来大学、
東京農業大学、水産研究・教育機構水産工学研究所、
中央水産研究所、日本事務器株式会社北海道支社 - 研究総括者
- 道総研稚内水産試験場 佐野 稔
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型 Aタイプ
- 研究期間
- 平成27年~29年(3年間)
- PDF版
- 海の中から消費までをつなぐ底魚資源管理支援システムと電子魚市場の開発(PDF : 958.2KB)
1 研究の目的・終了時達成目標
危機的な経営状況である北海道の底びき網漁業を持続可能な漁業にすることを目的とする。そのため、天然資源-漁船-漁協-加工・小売業者をつなぎ、現在の水産資源の状況、市場の取引状況、燃油情報などをリアルタイムで「見える化」して、予測困難な事象に対して沖合底びき網漁業者、漁業協同組合、加工・小売業者が順応的に対応できるようにする底魚資源管理支援システムと電子魚市場を開発し、漁業者による資源管理を支援する「底魚資源管理支援マニュアル」、漁業協同組合による運用を支援する「水産システム運用マニュアル」を整備することを目標とする。
2 研究の主要な成果
(1)漁船上でデジタル操業日誌に入力した操業情報が通信回線を通じて陸上のサーバへ送信され、販売情報を組み合わせ、漁船に対して資源管理と漁場選択の支援情報を提供する情報基盤システムを構築した。
(2)操業日誌データから、ホッケ0歳魚の加入量を予測して、獲り残し量、漁獲率を日々更新するホッケ資源管理支援情報を開発した。
(3)底魚資源管理支援システムを活用するためのマニュアルを刊行した。
(4)水産物を獲る過程と消費者へ届ける過程を結ぶ産地魚市場の電子化を進めるうえで、必要な社会的条件、具体的に導入可能な技術と導入効果を網羅した水産システム運用マニュアルを刊行した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) ホッケの資源管理支援情報は、稚内機船漁業協同組合に提供され、底びき網漁業者が2017年の漁獲率を3.6%に抑えることができた。
(2) 北海道機船漁業協同組合連合会を通じて、底びき網漁業者向けの新技術発表を行うとともに、ユーザー満足度を向上させた本システムの商品化を目指す。
【今後の開発・普及目標】
(1) 2年後(2019年)は、本システムの検証・改良作業を継続し、本システムの高度化を図る。
(2) 5年後(2022年)は、底魚資源管理支援システムとして商品化し、他の1地区に導入予定。
(3) 最終的に、北海道内の底びき網漁業全10地区への導入を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
(1) 試験導入している稚内地区では底びき網漁業経営の黒字化が継続することにより、100人の雇用と1万5千トン以上の水揚げの維持が期待でき、将来的には北海道内全体で、底びき網漁業に従事する630人の雇用と12万8千トン以上の持続的な水揚げが期待できる。
(2) 北海道道内の底びき網漁業の経営が安定し、持続可能な産業となることで、地方の基幹産業としての役割を担うことができ、地方経済基盤の安定につながることに貢献できる。
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道総研稚内水産試験場
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