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農林水産技術会議

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養殖魚品種改良期間の劇的な短縮を実現する革新的早期精子形成技術の開発

年度
2017
ステージ
シーズ創出
分野
水産(養殖)
適応地域
全国
キーワード
マダイ、ゲノム編集、早期成熟、メダカ、foxl3遺伝子
課題番号
26047A
研究グループ
京都大学農学研究科、近畿大学水産研究所、自然科学研究機構基礎生物学研究所、名古屋大学理学研究科
研究総括者
京都大学 木下 政人
研究タイプ
一般型 Aタイプ
研究期間
平成26年~28年(3年間)
PDF版
養殖魚品種改良期間の劇的な短縮を実現する革新的早期精子形成技術の開発(PDF : 1464.9KB)

1 研究の背景・目的・成果

近年、健康食嗜好の高まりなどにより、世界の魚の消費量が増加し続けている。また、我が国においては、和食の主要素材としての魚の重要性も再認識され、健康志向や高級品嗜好など消費者のニーズに対応した優れた形質を持つ養殖品種が切望されている。しかしながら、これまでの選抜育種による品種作製には、多大な労力、費用、期間を要する。そこで、マダイにおいてゲノム編集技術を用いた foxl3遺伝子破壊により、劇的に早期に卵巣内に機能的精子を形成させる技術の開発を目的とした。

2 研究の内容・主要な成果

(1) マダイ・トラフグにおいて、ゲノム編集技術により高効率に標的遺伝子を破壊する技術を確立した。

(2) メダカでその遺伝子破壊により早期に精子形成を誘導する foxl3 遺伝子のホモログを、マダイとトラフグから単離した。

(3) マダイを含む養殖魚11種にfoxl3 ホモログが存在することを示した。

(4) foxl3遺伝子破壊マダイの親魚候補を約30尾作製した。

(5) マダイ・トラフグにおいて、精巣への分化および精子形成開始の分子マーカー候補を単離した。

(6) 生殖細胞の雌雄を蛍光色で判別できるメダカを作成した。

【公表した主な特許・論文】

(1) Nishimura, T. et al., foxl3 is a germ cell-intrinsic factor involved in sperm-egg fate decision in medaka. Science, 349, 328-331 (2015)

3 開発した成果の展開方向

(1) foxl3 遺伝子破壊マダイおよびトラフグ系統を確立し、 メダカと同様に早期に卵巣内に機能的精子が形成されることを実証する。

(2) foxl3 遺伝子破壊マダイ系統を用い、筋肉量が有意に増加したマダイ品種を早期に確立する。

(3) 陸上水槽飼育下のゲノム編集魚の自然環境への拡散防止方法を確立する。

【開発目標】

(1) 2019年は、筋肉増量マダイ品種を作製する。

(2) 2021年は、高成長トラフグ品種を作製する。

(3) 5~8年後には、マダイとトラフグ以外の養殖魚に早期精子形成技術を応用する。

(4) 将来的には、性成熟に長期間を要する魚種でも短期間で新品種の作製を可能にする。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

多様で高品質の養殖魚が安全に安価に提供されうようになり、日本食の普及や国民の健康維持に貢献する。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

京都大学

木下 政人
TEL075-753-6445

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お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室

担当者:産学連携振興班
ダイヤルイン:03-3502-5530
FAX番号:03-3593-2209

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