機動的禁漁区設定による底びき網漁業管理システムe-MPAの開発
- 課題番号
- 25087C
- 研究グループ
- 島根県水産技術センター、三重大学大学院、
東京農業大学、島根県機船底曳網漁業連合会 - 研究総括者
- 島根県水産技術センター 道根 淳
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型B
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 機動的禁漁区設定による底びき網漁業管理システムe-MPAの開発(PDF : 1264.8KB)
1 研究の背景・目的・目標
本研究では、沖合底びき網漁業を対象とし、禁漁区(MPA:Marine Protected Area)設定技術を応用した機動的に禁漁区を決定する管理システムの開発を行う。高級魚として一般的に知られ、若齢魚での過剰漁獲が顕著なアカムツを主要対象種とし、若齢魚への漁獲努力量を減少させることにより過剰漁獲を防ぎ、資源を早期に回復させ、漁獲量、水揚金額の増加により地域の重要産業である沖合底びき網漁業の再生と復活を目指す。
2 研究の内容・主要な成果
(1) アカムツ若齢魚の分布・漁獲確率を推定する分布予測システムと機動的に禁漁場所を設置して漁獲への影響を評価するシステムを構築し、二つのシステムを統合した底びき網漁業管理システムe-MPAを開発した。
(2) シミュレーションの結果、底びき網漁業管理システムe-MPAの運用により水揚げへの影響を少なく、対象魚種の資源保護が可能となり、分布予測モデルとの組合せにより高い効果が得られる可能性を示した。
(3) 試験船および漁船での実証試験により、e-MPAの現実的な運用方法を確認したうえで、上記効果が認められることを実証した。
(4) e-MPAの運用により、燃油使用量の減少などコスト削減の可能性があり、適切にアカムツ若齢魚を保護することにより将来的な水揚金額の増大が見込めることを示した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 漁期終了後に開催する沖合底びき網漁業漁労長との意見交換会において、e-MPA実証試験結果の報告ならび本システム導入に向けて運用方法や管理ルールに関する協議を行った。
(2) 島根県浜田船籍沖合底びき網漁業において、2016年3月より全船団でのe-MPAの試験運用を開始する。
(3) 本システムの他魚種における適用可能性について、検討を開始した。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 水産資源の安定かつ持続的な供給を図り、国民生活の文化的健康的な食生活の向上に貢献する。
(2) 地域経済の安定化と活性化を図り、地域創生の一端を担う。
(3) 本システム導入によりアカムツ資源の増加、水揚金額の増加により、老朽船の代船を進めることで、水産業の安定を図り、自給率の向上に貢献する。

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