震災後の常磐周辺海域における底魚資源管理技術の開発
- 課題番号
- 25082C
- 研究グループ
- 福島県水産試験場、水研センター東北区水産研究所
- 研究総括者
- 福島県水産試験場 山廼邉 昭文
- 研究タイプ
- 現場ニーズ対応型B
- 研究期間
- 平成25年~27年(3年間)
- PDF版
- 震災後の常磐周辺海域における底魚資源管理技術の開発(PDF : 1003.4KB)
1 研究の背景・目的・目標
東日本大震災とそれに伴って発生した津波は未曾有の規模であり、これまでの知見では資源に与えた影響を予察することが困難である。さらに、震災によるデータの流出や欠落、操業休止などによる漁業の急激な変化に対し、これまでの資源解析モデルが有効であるかに疑問がある。そこで新たに、それらに頑健な資源解析モデルを開発し、震災が福島県沖に分布する底魚資源へ与えた影響を明らかにし、操業再開後の福島県沖の底魚類を対象とした資源管理に生かす。
2 研究の内容・主要な成果
(1) 急激な努力量減少に頑健な資源解析モデルを開発し、長期努力量削減時の資源解析を可能とした。
(2) 漁獲制御による資源保全効果を評価するモデルを開発し、ヒラメなど主要底魚類について、漁獲量あるいは漁獲金額を最大にし、資源量を維持できる漁獲努力量および漁獲サイズを明らかにした。
(3) 底魚資源への震災の影響評価と将来予測を行い、震災後多くの魚種で資源が増加していること、操業面積を変化させることによる漁獲量と資源量へ与える影響を明らかにした。
(4) 震災による操業自粛により、震災前の漁獲圧では減少すると予測された種が増加へ転じた場合と、元々増加傾向だった種の増加速度が上昇した場合の、2つの増加パターンがあったことが明らかとなった。
(5) 資源管理主体における実証試験を検証し、多くの資源の増加、大型化などを明らかにした。
公表した主な特許・品種・論文
(1) Yasutoki, S. et al. A Surplus Production Model Considering Movements between Two Areas using Spatiotemporal Differences in CPUE: Application to Sea Ravens Hemitripterus villosus off Fukushima as a Practical Marine Protected Area after the Nuclear Accident, Marine and Coastal Fisheries 7, 325-337 (2015).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況
(1) 資源管理の方向性を示したパンフレットを作成した。
(2) 今回開発した資源解析手法Spatial SPMを全国で使用できるよう、マニュアルを作成した。(DVDで水産試験場等に配付予定)。
(3) 福島県内の資源管理の協議の場を活用して、検討会を開催した。当該事業の実施や、震災前後の努力量分布の比較及び主要魚介類の資源動向などについて説明した。
4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献
(1) 従来より効果の高い資源管理技術を開発、普及することにより、漁業者の行う資源管理、また、その導入促進のための施策の展開に貢献することができ、国産水産資源を持続的に国民に供給していくことが可能となる。
この研究成果を活用しませんか?
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
福島県水産試験場
TEL 0246-54-3151