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農林水産技術会議

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免疫応答を利用したワクチン適用可能魚種の同定

年度
2016
ステージ
実用技術
分野
水産(養殖)
適応地域
全国
キーワード
水産用ワクチン、承認、適用魚種の拡大、免疫応答の比較、養殖
課題番号
25072C
研究グループ
水産総合研究センター、東京海洋大学
大分県農林水産研究指導センター、宮崎県水産試験場
研究総括者
水産総合研究センター 松山知正
研究タイプ
現場ニーズ対応型A
研究期間
平成25年~27年(3年間)
PDF版
免疫応答を利用したワクチン適用可能魚種の同定(PDF : 1461.9KB)

1 研究の背景・目的・目標

水産用ワクチンは魚種ごとに認可されるため、養殖生産量の少ない魚種にはワクチンの使用が認められていない。認可の枠を属や科など、魚種より大きな範囲に拡大することができれば、ワクチンが普及し、安全で計画的な養殖が行える。しかし、安易な認可魚種の拡大は認められておらず、有識者には「ワクチンの適用魚種を拡大するには魚種間で免疫応答が類似していることを示す必要がある」との意見がある。そこで本課題では、免疫応答の類似性を魚種間で比較する手法を開発し、マニュアル化することを目指した。

2 研究の内容・主要な成果

(1) 魚種間の免疫応答を比較する手法として、1.ワクチンの有効性の比較法、2.感染防御に関わる免疫系の分類法、3.病原体排除能の比較法、4.感染防御抗原の比較法、5.抗原の網羅的比較法、6.遺伝子発現応答の比較法を開発した。

(2) マダイイリドウイルスワクチンを研究モデルとして、ワクチン既承認魚種4種と、未承認魚種3種について免疫応答を解析したところ、分類群の近い同属間で類似した応答が見られた。

(3) 開発した解析手法をまとめたマニュアルと、研究成果をワクチンの承認審査機関に提出し、ワクチンの適用の魚種範囲を広げるための指標として使用することを提案した。

公表した主な特許・品種・論文

(1) Kondo H. et al. Comprehensive gene expression profiling in Japanese flounder kidney after injection with two different formalin-killed pathogenic bacteria.Fish Shellfish Immunol. 41, 437-440 (2014).

(2) Jirapongpairoj W. et al. Development of consensus qPCR primers to detect cytokine genes in three amberjack species: Seriola quinqueradiata, S. lalandi and S. dumerili. Fisheries Science. 81, 907-914 (2015).

(3) Zhao B. et al. Comparative analysis of two types of CXCL8 from Japanese flounder (Paralichthys olivaceus). Dev. Comp. Immunol. 52, 37-47 (2015).

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

(1) 魚種間の免疫応答を比較する手法を確立し、手法をまとめたマニュアルを作成した。

(2) マニュアルと研究成果を、ワクチンの承認を行う水産用医薬品調査会に提出し、現状より広範囲なワクチンの承認を行えるよう働きかけている。

(3) 開発した魚類免疫応答を測定するための資材を、公的研究機関に配布した。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

(1) ワクチンの普及が加速し、薬剤に頼らない、より安心・安全な食料生産が拡大する。

(2) 養殖生産量が少なく、魚価の高い養殖魚種に対してワクチンを使用できるようになり、安定的な生産が可能となる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

水産研究・教育機構

増養殖研究所
TEL 0599-66-1830

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