農地土壌中の放射性物質濃度分布図の公表について(令和元年10月11日)
農林水産省は、福島県の368地点において平成30年度に行った土壌中の放射性セシウム濃度の測定結果(「放射性物質測定調査委託事業」、「土壌等中の放射能含有実態調査事業」及び「福島イノベーション・コースト構想に基づく先端農林業ロボット研究開発事業」(農林水産省))を取りまとめるとともに、農地土壌の放射性物質濃度分布図(以下「農地土壌濃度分布図」という。)を作成しました。また、調査地点以外の農地土壌濃度分布図を作成する際、平成31年3月8日に公表された航空機モニタリングの結果を利用して濃度分布を推計しました。このため、濃度分布の推計には最近の空間線量率の分布が反映されています。
1. 作成の目的
東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質の影響を受けた農地において、除染や営農上の対策を進めるための基礎的な知見として、農林水産省は、平成23年8月以降、毎年、農地土壌濃度分布図を作成しています。今般、平成30年度の農地土壌の測定データ等により、農地土壌濃度分布図を作成しました。
2. 農地土壌濃度分布図の作成方法
農地土壌濃度分布図は、農林水産省が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農業環境変動研究センターに委託し、以下により作成しました。
(1)対象地域
福島県
(2)調査地点
368地点
(3)農地土壌の採取
放射性物質濃度の測定に用いる農地土壌の試料は、調査地点ごとに一つのほ場から採取しました。具体的には、ほ場での平均的な値を得るため、ほ場に対角線を引き、その交点1点、対角線の交点と各頂点との中点4点の計5箇所から、放射性物質が耕起によって撹拌される深さや農作物が根を張る深さを考慮して、地表面から約15cm又は耕うんの深さまでの土壌を採取しました。採取した5点の土壌試料は、一つのビニール袋に入れてよく混合しました。
(4)分析の対象核種
ゲルマニウム半導体分析装置を用いて放射性セシウム(Cs137、Cs134)の濃度を測定しました。農地土壌濃度分布図等には、Cs137とCs134の濃度の合計を表示しました。
(5)実測値の補正
分析に使用した農地土壌の試料については、その採取・測定時期が平成30年8月から平成31年1月と分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(平成30年11月15日)を設定して実測値を補正しました。なお、基準日は、原子力規制委員会が実施した航空機モニタリングデータの基準日と同じ日に設定しました。
(6)調査地点以外の農地土壌の放射性物質濃度の推計
農地土壌の放射性セシウム濃度と農地上の空間線量率との間には一次の相関関係がありました。これを活用して、原子力規制委員会が実施した航空機モニタリングの空間線量率データから農地土壌の放射性セシウム濃度を推計し、調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を地図に表示しました。今回の分布図は、平成31年3月8日に原子力規制委員会が公表した航空機モニタリングの結果を使用して推計を行っております(注)。
なお、推計した放射性セシウム濃度の値と実測値との間には、一定の誤差が生じる場合があります。
なお、推計した放射性セシウム濃度の値と実測値との間には、一定の誤差が生じる場合があります。
(注)この分布図の作成方法は平成27年11月30日以降に公表した分布図の作成方法と同じです。このため、平成27年11月30日以降に公表した分布図との比較はできますが、それより前に公表した分布図とは作成方法が異なるため比較はできません。
(7)農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲の設定
農地土壌濃度分布図では、濃度分布の傾向を表すため、濃度に応じて6段階に範囲を区切り、段階ごとに色分けして農地土壌の放射性セシウム濃度を表示しました。濃度の範囲を設定するに当たっては、調査地点全体での放射性物質濃度の範囲、農地の除染技術の適用の考え方及び濃度の値の桁数等を勘案しました。
3. 結果
(1)農地土壌調査総括表
(2)農地土壌の放射性物質濃度分布図
2)農地土壌の放射性物質濃度分布図(福島県市町村別)
・市町村別
(3)調査地点における農地土壌の放射性物質濃度分布図
2)調査地点における農地土壌の放射性物質濃度分布図(福島県地域別)
・地域別
福島県県北(PDF : 287KB) | 福島県相双(PDF : 2,655KB) | 福島県いわき(PDF : 416KB) | 福島県県中(PDF : 351KB) | 福島県県南(PDF : 521KB) | 福島県会津(PDF : 283KB) | 福島県南会津(PDF : 247KB) |
(4)農地土壌中の放射性セシウムの分析値
(5)農地土壌放射性セシウム濃度の簡易算定法
4. 今後の取組
今回作成した農地土壌濃度分布図等については、農地の除染や現場での対策への活用を図っていきます。また、引き続き、農地土壌の放射性セシウム濃度の推移を把握するための調査を進めることとしています。
5. 参考
・「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」(平成30年12月7日公表)
・「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」(平成30年3月30日公表)
・「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」 (平成29年1月19日公表)
・「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」(平成30年3月30日公表)
・「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」 (平成29年1月19日公表)
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