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農林水産技術会議

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農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について(平成26年10月17日公表)


農林水産省は、農地の除染や現場での対策に資するよう、これまで福島県等の農地土壌の放射性物質の濃度を調査し、分布図を作成しています。平成25 年度においても、福島県の341 地点において土壌中の放射性セシウム濃度の測定を行い、その結果を取りまとめました。また、前回調査(平成25 年8 月公表)と同一地点(91 点)における農地土壌中の放射性セシウム濃度の低下率を用いて、前回の調査の際に推計した農地土壌の放射性物質濃度分布図を更新しました。

1.作成の目的

東京電力株式会社 福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質の影響を受けた農地において、除染や営農上の対策を進めるためには、農地土壌がどの程度放射性物質に汚染されているのかを把握することが必要です。このため、農林水産省は、平成23 年8 月以降、毎年、農地土壌の放射性物質濃度分布図(以下「農地土壌濃度分布図」という。)を作成しており、今般、平成25 年度の農地土壌の測定データ等により、農地土壌濃度分布図の更新を行いました。

2.農地土壌濃度分布図の作成方法

農地土壌濃度分布図は、農林水産省が独立行政法人 農業環境技術研究所に委託し、以下により作成しました。

1.対象地域

福島県


2.調査地点

341 地点

3.農地土壌の採取

放射性物質濃度の測定に用いる農地土壌の試料は、調査地点ごとに一つのほ場から採取しました。具体的には、ほ場での平均的な値を得るため、ほ場に対角線を引きその交点1 点、対角線の交点と各頂点との中点4 点の計5 箇所から、放射性物質が耕起によって撹拌される深さや農作物が根を張る深さを考慮して、地表面から約15cm 又は耕うんの深さまでの土壌を採取しました。採取した5 点の土壌試料は、一つのビニール袋に入れてよく混合しました。

4.分析の対象核種

ゲルマニウム半導体分析装置を用いて放射性セシウム(Cs-137、Cs134)の濃度を測定しました。農地土壌濃度分布図等には、Cs-137 とCs-134 の濃度の合計を表示しました。

5.実測値の補正

分析に使用した農地土壌の試料については、その採取・測定時期が平成25 年8 月から平成26 年3 月と分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(平成25 年11 月19 日)を設定して実測値を補正しました。なお、基準日は、原子力規制委員会が実施した航空機モニタリングデータの基準日と同じ日に設定しました。

6.調査地点以外の農地土壌の放射性物質濃度の推計

前回の調査における調査地点と同一のほ場91 地点を用いて、これらの地点における放射性セシウム濃度の実測データから、土地利用の違いや避難指示区域の内か外かの違い、除染実施状況の違いごとに放射性セシウム濃度の低下率を算定しました。次に、前回の調査における農地土壌の放射性セシウム濃度に低下率を乗じることで、今回の調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を推計して農地土壌濃度分布図を更新しました。なお、推計した放射性セシウム濃度の値と実測値との間には、一定の誤差が生じる場合があります。

7.農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲の設定

農地土壌濃度分布図では、濃度分布の傾向を表すため、濃度に応じて6 段階に範囲を区切り、段階ごとに色分けして農地土壌の放射性セシウム濃度を表示しました。濃度の範囲を設定するに当たっては、調査地点全体での放射性物質濃度の範囲(37~約8.7 万 Bq/kg)、農地の除染技術の適用の考え方及び濃度の値の桁数(1,00010,000)等を勘案しました。

3.今後の取組

今回作成した農地土壌濃度分布図等については、農地の除染や現場での対策への活用を図っていきます。また、引き続き、農地土壌の放射性セシウム濃度の推移を把握するための調査を進めることとしています。

4.参考

・平成26 年3 月7 日付けプレスリリース「福島県及びその近隣県における航空機モニタリングの測定結果について」(原子力規制委員会)
 http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/9000/8909月24日/362_20140307.pdf

平成25 年8 月9 日付けプレスリリース「農地土壌の放射性濃度分布図の作成について」
 https://www.affrc.maff.go.jp/docs/map/h25/130809.htm

平成24 年3 月23 日付けプレスリリース「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」
 https://www.affrc.maff.go.jp/docs/map/h24/120323.htm

平成23 年8 月30 日付けプレスリリース「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」
 https://www.affrc.maff.go.jp/docs/map/h23/110830.htm
 

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農林水産技術会議事務局研究企画課

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