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高効率バイオ燃料生産に向けたセルロソーム再構築微生物の基盤研究

年度
2016
ステージ
シーズ創出
分野
エネルギー(バイオマス)
適応地域
全国
キーワード
稲わら、バイオ燃料、地球温暖化、 Clostridium属細菌、酵母
課題番号
26016A
研究グループ
三重大学大学院生物資源学研究科
京都大学大学院農学研究科
研究総括者
三重大学 三宅 英雄
研究タイプ
技術シーズ【若手】
研究期間
平成23年~27年(5年間)
PDF版
高効率バイオ燃料生産に向けたセルロソーム再構築微生物の基盤研究(PDF : 1827.0KB)

1 研究の背景・目的・目標

農作物の残渣など食料と競合しない未利用資源からのバイオ燃料の生産が急務となっている。本研究では、稲わらなどのセルロース系バイオマスを効率よく分解することができるClostridium cellulovorans(クロストリジウムセルロボランス)が生産する「セルロソーム」と呼ばれる酵素複合体の分子機構を解明する。さらに各セルロース系バイオマスの分解に適したセルロソームをデザインし、それらを賦与した微生物の創製を目標とした。

2 研究の内容・主要な成果

(1) RNA-Seqベースのゲノムワイドなトランスクリプトーム解析により、C. cellulovoransが多糖および稲わらなどのセルロース系バイオマスに対してどのようなセルローム関連遺伝子が発現しているかを解明した。

(2) 定量的プロテオーム解析により、C. cellulovoransが多糖および稲わらなどのセルロース系バイオマスに対してどのようなセルロームを発現しているかを解明した。

(3) C. cellulovoransのセルロソーム遺伝子クラスターをブタノール生産菌であるClostridium beijerinckiiに賦与することで糖化とブタノール発酵の機能を有するセルロソーム再構築ブタノール生産菌を開発した。

(4) C5糖を資化する酵母を開発し、C. cellulovoransのセルロソーム骨格タンパク質やセルロソーム形成酵素を酵母に賦与することで糖化とエタノール発酵の機能を有するセルロソーム再構築酵母を開発した。

公表した主な特許・論文

(1) PCT/JP2015/059854 アルコールの製造方法 三宅英雄(三重大学)

(2) Aburaya S. et al. Elucidation of the recognition mechanisms for hemicellulose and pectin in Clostridium cellulovorans using intracellular quantitative proteome analysis. AMB Express, 05時29分 (2015).

(3) Ota M. et al. Display of Clostridium cellulovorans xylose isomeraseon the cell surface of Saccharomyces cerevisiae and its direct application to xylose fermentation. Biotechnol. Prog., 29, 346-351 (2013).

3 今後の展開方向、見込まれる波及効果

(1)セルロース系バイオマスに含まれるC5糖を資化し、エタノール発酵が可能な本研究成果の酵母を利用することで、C6糖とC5糖を利用できるバイオエタノール製造技術が開発される。

(2)セルロソームをブタノール生産菌に賦与した本研究成果である新規セルロソーム生産菌を利用することで、セルロース系バイオマスから次世代液体燃料であるブタノール製造への発展につながる。

4 開発した技術・成果が活用されることによる国民生活への貢献

(1)セルロース系バイオエタノール生産は、バイオマスに含まれるC6糖を主に使っていたが、本研究成果によって開発された酵母はC5糖も利用可能であり、低コスト化と低炭素化の実現が期待できる。

(2)ブタノールはエネルギー密度が高く、さらにパイプライン、ガソリンスタンドなどの既存インフラをそのまま利用できるため本研究で創製したブタノール生産菌の利用による経済効果が期待できる。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

三重大学大学院生物資源学研究科

TEL 059-231-9626

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