ゲノム編集による育種素材の開発
- プロジェクト名
- ゲノム編集技術を活用した農作物品種・育種素材の開発(包括)
- 分野
- 育種
- 研究代表機関
- 大阪大学
- 共同研究機関
- 農研機構、京都府立大学、筑波大学、北海道大学、玉川大学、ハウス食品グループ本社 等
- 研究期間
- 令和元年度~令和5年度
- PDF版
- ゲノム編集による育種素材の開発
研究概要
ばれいしょ、コムギ、トルコギキョウ、ユリ、ピーマン、イネ、ダイズ、ダイコン、タマネギといった多くの作物において、ゲノム編集技術を活用して、新たな特性を付与した育種素材を作出しました。また、国産のゲノム編集酵素が植物で利用できることを実証しました。
これにより、ゲノム編集技術を活用した農作物品種の開発が期待されます。
研究背景
ゲノム編集はゲノム上の狙った遺伝子を改変できる有用な育種技術であり、生産コストの削減や消費者ニーズへの対応等、生産者や食品業界等の問題を解決する品種開発への利用が期待されています。しかしながら、ゲノム編集技術を用いた品種開発の実績がある植物は限られています。
このため、様々な作物へゲノム編集技術を活用することによる育種素材の開発に取り組みました。
開発したゲノム編集農作物(イメージ)
主要成果
生産・加工コストの低減や作業効率の改善等が期待される育種素材を開発
➔以下の育種素材を活用した品種開発が期待
種イモの安定供給等が可能となる塊茎の萌芽を抑制したばれいしょ
農薬の散布回数の削減が可能となる赤かび病のかび毒蓄積を低減したコムギ
玄米収量の大幅な向上が可能な超多収イネ
調理・加工の手間を減らすことが可能な種が大幅に減少したピーマン
収穫時期が長く高い品質をもつ晩抽性ダイコン
ばれいしょ野生型 (左) とゲノム編集系統 (右)の収穫後6ヶ月の塊茎の状態
ゲノム編集コムギの切り穂の赤かび病接種試験におけるかび毒定量
消費者ニーズへの対応のため、付加価値の創出が期待される育種素材を開発
➔以下の育種素材を活用した品種開発が期待
アレルゲン性が劇的に低下したダイズ
観賞期間延長が可能となる花持ちのよいトルコギキョウ・ユリ
香味成分が増加することにより、香りや風味が一段と増したタマネギ
血清を用いた試験において、主要なダイズアレルゲン遺伝子(Gly m 4)欠損系統の低アレルギー性を確認
ゲノム編集ユリ系統(上2花)と野生型(下)の開花後8日目 の花の様子
国産ゲノム編集酵素であるCRISPRCas3で、イネの標的遺伝子に変異を導入できることを実証
➔ 欧米のゲノム編集酵素の基本特許を回避したゲノム編集農作物の開発が可能
説明機能欠損により葉が白色化する遺伝子を標的とした変異導入実験。
CRISPR-Cas3により標的遺伝子に変異が導入され、イネが白色化した。
この研究についてのお問い合わせ先
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
農林水産技術会議事務局研究開発官(基礎・基盤、環境)室
TEL:03-3502-7435
お問合せ先
農林水産技術会議事務局研究企画課
担当:企画班
TEL:03-3501-4609(直通)