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農林水産技術会議

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イカの加工副次産物等を原料とした健康機能性食品乳化剤の開発実証研究

実証地域
宮城県
分野
漁業・漁村
分類
個別要素技術型研究
代表機関
(国)北海道大学
参画研究機関
(地独)大阪市立工業研究所、(学)関西大学、フィトファーマ(株)
研究実施期間
平成25年度~平成27年度

1 研究の背景・課題

  • 宮城県は日本有数の水産加工地域であるが、震災により多くの加工施設が被災し、出荷が停滞する間に市場も縮小してしまった。市場回復のためには、従来の練り製品主体の製品群加え、新規付加価値を生む製品の開発が重要となっている。

2 研究の目標

  • 宮城県の主要な加工原料であるイカやサケについて、従来はミールや軟骨に一部利用はあるものの、利用度が低いイカの加工副次産物及び秋サケの頭部残滓を活用した機能性を付加できる食品乳化剤を宮城県発で作出し、安定的且つ持続的な販路を見通せる製品を現実化することで復興の一助とする。特に、イカの皮等内臓以外の副次産物より作製した乳化剤(リゾリン脂質)は、DHAを脂肪酸組成比で80%前後も含むことが見込まれるとともに、リン脂質の形態なので送達性に優れ、DHAや機能性物質に対する促進性も期待され、極めて高い健康性機能を有するものと予想される。一方、サケの頭部油はアスタキサンチンを含み、酸化防止機能に優れることが期待される。これらのことから、従来の魚油にはないニーズに応える効果を備えた高付加価値製品を開発する。

3 研究の内容

  • イカの皮や肉の切れ端(ミール)及び秋サケの頭部の水産加工残滓から、油脂(リン脂質)の抽出精製を効率化するとともに抽出したリン脂質のDHA高含有化を図る。イカリン脂質においては、脂肪酸組成比中DHAが80%になることを目指す。サケ頭部由来の脂質については、大量安定供給を図る。
  • 従来の乳化剤が不得意とする酸性飲料・食品、イオン含有飲料・食品および加熱飲料・食品に対しても、乳化能をもつDHA含有乳化剤を開発する。
  • これらの乳化剤を利用した製品を数種試作し、乳化安定性を評価する。

4 研究成果概要

  • イカ皮及びイカミールから得たリン脂質を市販の脂質分解酵素剤で処理することにより、DHAを脂肪酸組成比で80%以上も含むリゾリン脂質を調製できることを明らかにした(表)。
  • また、このリゾリン脂質は、スポーツドリンクのようなイオン存在下の飲料においても、顕著に乳化分散能に優れることが強く示唆され、酸性ドリンク剤、加熱食品等のような苛酷な条件下においても、非常に高い乳化性能を発揮することが期待された。
  • 秋サケ頭部油由来リン脂質を市販の脂質分解酵素剤で処理することによっても同様のリゾリン脂質が得られ,その場合でもDHAを脂肪酸組成比で50%以上含むリゾリン脂質を調製できることが明らかになった。
  • ラットによる動物実験を実施し、血中中性脂質に関しては、中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロールにおいて、イカリゾリン脂質群は魚油トリアシルグリセロール群よりも優れた低下作用を有することを認めた。

注)DHA:ドコサエン酸のことで、健脳機能、抗アレルギー、抗腫瘍、抗メタボ機能が知られている。リン脂質:リンを分子内に持つ脂質で、生体親和性が高く、結合している脂肪酸が利用され易い脂質である。乳化機能を有する。乳化剤:油脂を水に分散させる働きを持った物質。リゾリン脂質:リン脂質に結合している二つの脂肪酸のうち、一つを除去して、脂肪酸を一個にしたもの。より苛酷な条件でも乳化能を維持し、結合している脂肪酸が一層利用され易い形態の脂質である。

この研究についてのお問い合わせ先

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

問い合わせ先:北海道大学 高橋是太郎

TEL:0138-40-5560
住所:〒041-8611北海道函館市港町3ー1ー1
E-mail:kore@fish.hokudai.ac.jp

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漁業・漁村
宮城県
イカの加工副次産物を原料とした 健康機能性食品乳化剤の開発実証研究

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お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課

担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209

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