植物工場の高収量化・高効率生産に向けた統合型環境制御システムの開発
- 実証地域
- 福島県
- 分野
- 農業・農村
- 分類
- 個別要素技術型研究
- 代表機関
- (特非)植物工場研究会
- 参画研究機関
- (国)千葉大学、日本電気(株)
- 研究実施期間
- 平成25年度~平成27年度
1 研究の背景・課題
福島県産農産物については、東日本大震災の影響により、風評被害が課題となっている。また、市場や消費者からは、清潔さ、新鮮さ、調理への便利さ、安全性の高さ等を、一方、生産者からは、ランニングコストの低下、作りやすさの改善、省労力生産等を求められている。
これらの要望を応えるため、福島県の植物工場において統合環境制御システムの開発を行い、福島県の農業復興に貢献する。
2 研究の目標
- パイプハウスレベルでも単独でコントロール可能な装置で収益性(10%程度)を向上させる。
- ガラス温室レベルで2割増の収益向上、大規模植物工場で5割増の収益向上が可能な統合環境システムを構築する。
3 研究の内容
- 統合環境制御システムの経済性環境制御部におけるプロトタイプの開発を行い、千葉大学植物工場実験棟においてコストの削減効果並びに、コストパフォーマンスの効果について検証を実施した。
- 福島県被災地の植物工場に統合環境制御システム(コアシステム(CS)、インテリジェントコントローラ(IC)、マルチゲートウエイ(MGW)システムの導入を行い、検証・評価・改善を繰り返しながら収益向上性に対する実証検証を実施した。
4 研究成果概要
- 初年度に植物工場内外の各種環境データ取得と、それらをもとに福島県いわき市の大野水耕生産組合植物工場に適合させた統合環境制御システムの設置を完了した。
- 2年度目より実証を開始した。2年度目は従来通りの栽培期間での実証を行い、栽培管理者によれば対象区(隣接する植物工場)と比較し約30%の収量増となった(当該植物工場は観光農園となっており、入園者による消費が多く正確な収量は計測できなかったため栽培管理者の判断による)。
- 3年度目には上期にヒートポンプを設置し、3年度目実証へ向けて稼働を開始した。3年度目は細霧システムによる昼間のハウス内気温低下、夜間のヒートポンプによる夜温低下を実現させ、栽培期間の延長による収量増に取り組んだ。従来は8/末前後の定植であったものを約2週間早めて8/中から定植を開始した。この事により、約2週間早い定植+約2週間の定植延長(5/中→5/末)で約1ヶ月間の栽培期間延長が実現でき、この部分だけでも約15%の収量増となった。また、早期収穫により単価が上昇し、収益性が大幅に向上した。
- 加えて、3年度目に福島県農業総合センターと共働で2回の現地説明会を開催し、近隣農業生産法人等への説明と啓蒙を実施した。(個別現地見学は2年度目より複数回を受入れ)
- 以上の成果をふまえ、大野水耕は事業終了後も統合型環境制御システムの継続使用を希望し、必要費用を自社負担として、平成28年度現在もシステムを使用している。



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農林水産技術会議事務局研究推進課
担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
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