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農林水産技術会議

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植物工場の高収量化・高効率生産に向けた統合型環境制御システムの開発

実証地域
福島県
分野
農業・農村
分類
個別要素技術型研究
代表機関
(特非)植物工場研究会
参画研究機関
(国)千葉大学、日本電気(株)
研究実施期間
平成25年度~平成27年度
PDF版
植物工場の高収量化・高効率生産に向けた統合型環境制御システムの開発

研究概要

東日本大震災の影響により、福島県産農産物に対する風評被害が課題となっている。また、市場・消費者は、「清潔さ、新鮮さ、調理への便利さ、安全性の高さ、地域社会への貢献」を、一方、生産者は、「ランニングコストの低下、作りやすさの改善、省労力での生産等」を求めている。

太陽光型植物工場産の青果物は、これらの要求を満たすことが可能であることから、福島県の食料生産地域再生のため、福島県の太陽光型植物工場において、現地の環境に適合した「統合環境制御システム」を開発し、生産者へ提供できるよう実証研究を行う。

統合環境制御システムとは

統合環境制御システムは、「コアシステム(CS)」を中核とし、各種の「インテリジェントコントローラ(IC)」群で構築される植物工場の栽培環境を統合的に制御するシステムである。本事業ではCSの経済性環境制御機能を中心とする統合型環境制御システムの実証研究を行う。

ICは制御する環境の要因ごとに開発し(CO2IC、細霧冷房・飽差制御 IC、ヒートポンプ IC、培養液管理 IC)、単独でも対象要因の制御を効率的に行う能力を有する。また、必要に応じて収集した環境データを、CSへ送信する。CS側では、それらの環境データと過去のビックデータから得たマイニング式等から統合的制御に対応する制御パラメータを導き出し、ICに戻す。そして、ICは、それらのパラメータをもとに、CO2施用装置や飽差制御などを行う細霧システムなどの環境制御装置類(アクチュエータ)を稼働させる。

このとき、CSは植物の成長や栽培環境の制御予測を行い、収穫時期に合わせて植物工場内の環境を総合的に制御し、高度で多要因の環境制御を行うための頭脳として働く。IT技術を駆使した環境制御を行うことで、最小のランニングコストで高収量化・高効率生産を実現し、最大のコストパフォーマンスと安定した収益を目指す。

研究目標

  1. ・パイプハウスレベルでも単独でコントロール可能な装置で収益性(10%程度)を向上させる。
  2. ・ガラス温室レベルで2割増の収益向上、大規模植物工場で5割増の収益向上が可能な統合環境システムを構築する。

研究内容

1.統合環境制御システムプロトタイプの詳細設計及び試作 (千葉大学、NEC)

(1)統合環境制御システム プロトタイプの詳細設計を実施

経済性環境制御機能による統合環境制御システムプロトタイプの詳細設計・製造(試作)

(2)コアシステムとインテリジェントコントローラの接続検証実施

コアシステムとインテリジェントコントローラ間の接続の検証
(CO2 、細霧冷房、ヒートポンプ等のインテリジェントコントローラを使用)

2.コアシステム コストパフォーマンスが最大となる様な二大機能を保有

  1. (1)経済性環境制御
    環境値スケジュールに基づき目標を達成するためにヒートポンプなどのアクチュエータを選定し、最適制御を実行
  2. (2)経済性生産制御
    成長と収量の予測及び工場内環境のスケジュールを作成

2.福島の植物工場での検証計画・検討 (NPO植物工場研究会、千葉大学、NEC)

(1)福島県内植物工場での環境データ収集の実施

  1. 1.福島県で植物工場を選定し、各種センサー、計測機器を設置し、環境データ(気温、湿度、日射量など)の収集
  2. 2.収集したデータを用いた、福島県の環境条件に適したマイニング式の修正・改良

(2)千葉大学植物工場での統合環境システムの検証

千葉大学植物工場実験棟にて、コアシステムとインテリジェントコントローラを使用する場合と使用しない場合とでの生育・収量の違いや、経済効果が上がるかどうかについての評価・検証を行う。

3. 福島県現地植物工場への統合環境制御システムの導入・検証・評価(NPO植物工場研究会、千葉大学、NEC)

(1)インテリジェントコントローラの設置、データ収集

  1. ・ CO2、飽差制御・細霧冷房、ヒートポンプのインテリジェントコントローラを設置・環境データの収集

(注)飽差制御:飽差とは、ある空気にあとどの程度の水蒸気が入る余地があるかを示すもので、通常植物の蒸散速度は、飽差に依存する。従って、飽差が小さいと作物の蒸散が抑制されるが、逆に大きくなりすぎても気孔が閉鎖し、蒸散が抑制されると同時に、CO2の取り込み速度(光合成速度)も抑制されてしまう。このように、作物に大きな影響を与える飽差を適切に制御するのが飽差制御である

(2)コアシステムとゲートウエイを設置、データ収集・検証

  1. コアシステム(経済性環境制御機能)とゲートウエイを設置し、導入するインテリジェントコントローラや既設の環境制御機器と組み合わせて、 統合環境制御システムのプロトタイプを稼働・ データ収集・制御精度・効果の検証

(3)データマイニング動作検証、フィードバック、検証まとめ

  1. 収集したデータのデータマイニングを実施し、統合環境制御システムへフィードバック
  2. 福島県に最適な統合環境制御システムをまとめる

研究課題間の連携

関連情報

研究成果

農業・農村
福島県
植物工場の高収量化・高効率生産に向けた統合型環境制御システムの開発

この研究についてのお問い合わせ先

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

問い合わせ先:特定非営利活動法人植物工場研究会 事務局

担当者:山口、市野澤
住所:〒277-0882 千葉県柏市柏の葉6-2-1 千葉大学環境健康フィールド科学センター
TEL:04-7137-8312
E-mail:info@npoplantfactory.org

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課

担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209

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