天然資源への影響を軽減した持続的な漁業・養殖業生産 システムの実用化・実証研究
- 実証地域
- 岩手県
- 分野
- 漁業・漁村
- 分類
- 網羅型研究
- 代表機関
- (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
- 参画研究機関
- (独法研究機関)(独)水産総合研究センター
北海道区水産研究所、中央水産研究所、瀬戸内海区水産研究所、水産工学研究所
(公立試験研究機関)岩手県水産技術センター
(大学)北海道大学、岩手大学、東北大学、広島大学、北里大学
(企業等)石村工業(株)、スタンレー電気(株)、(社)漁業情報サービスセンター
岩手県漁業協同組合連合会、岩手県沿岸広域振興局・県北広域振興局、(社)岩手県さけ・ます増殖協会 - 研究実施期間
- 平成24~29年度
- PDF版
- 天然資源への影響を軽減した持続的な漁業・養殖業生産 システムの実用化・実証研究
三陸沿岸域における養殖業・沿岸漁業のシステム化
研究の概要
本研究課題では、東日本大震災により被災した三陸地域を新たな食料供給地域として再生するため、沿岸域におけ る海況予測システムを構築するとともに、岩手県水産業の基幹であるワカメ養殖、サケ漁業、沿岸漁業において、効 率的なシステムを導入します。これにより、当面の水産業の復旧支援にとどまらず、岩手県水産業を効率的な漁業、 養殖業生産システムへと進化させ、水産業の低コスト化、高収益化を実現しつつ、水産物の供給基地としての機能を 強化することに貢献していきます。
この目標のため、岩手県内において以下の4つの技術体系を集中的に導入・実証し、持続的な漁業・養殖業システ ムを構築することにより、水産業の低コスト化、高収益化を実現しつつ復興を加速させます。
導入・実証する技術体系
- リモートセンシング、海洋観測システム等を統合した配信型の漁海況予測システムの高度化技術
- 三陸の重要な漁業資源であるサケの複合的放流技術
- 沿岸生態系の修復と積極的な放流、資源管理を組み合わせ天然資源への影響を軽減した沿岸漁業資源の増殖技術
- ワカメ養殖の大規模化を可能とする効率的養殖システム
1.沖合・沿岸海洋環境情報統合システムの実証研究
■沖合・沿岸海洋環境情報統合システムの実証研究
沿岸漁業や養殖業に大きく影響する海洋環境に関するデータを効率的に取得するため、自動水温観測システムを各所に設置し、岩手県沿岸域における観測網を再構築します。得られたデータはホームページなどを通じて沿岸漁業・養殖業の現場に向けて情報発信します。
■沿岸海洋環境への沖合海洋循環の影響の解明と沿岸海洋環境予測システムの開発
岩手県沿岸の養殖業にとって重要な「海水中の栄養塩濃度」の効率的な観測体制を構築し、得られたデータを養殖業の現場に向けて情報発信します。また観測データを分析し、岩手県沿岸域の水質環境が変化するメカニズムを解明し、将来予測モデルを開発します。
■定置網入網予測情報配信システムの開発
航空機や人工衛星からの観測によって、岩手県周辺における潮目や暖水ストリーマの分布等の海洋構造を把握します。海洋構造と定置網漁獲状況との関係を解析し、海洋環境情報を基に定置網への入網状況を予測する手法を開発します。予測結果は海洋環境情報とあわせ、定期的に漁業の現場に向け情報発信します。
2.三陸サケ回帰率向上のための放流技術の高度化実証研究
放流直後のサケ稚魚の生き残りを高める技術を開発します。また、稚魚の成長・生残に適した海洋環境下で粗放的な放流を行うことにより、放流にかかるコストを低減します。

3.三陸里海モデルによる沿岸資源の複合的管理技術の実証


■沿岸域の産卵場・成育場の修復・保全・利用方針の策定
地形や波浪の強さから成育場として適した場所を選定します。条件の良い場所では湾内の成育場の環境や生物生産構造を調べることにより、成育場の特性に見合ったクロソイ等の適正放流量を明らかにします。波浪の影響が強く受けるアサリでは、波浪の影響を抑制し、稚貝や親貝の生息域を確保する手法を開発します。
■低コストで高品質な放流種苗生産技術の実証
LED照明装置で魚の視感度特性にあった波長の光を照射して成長を促進する技術や、省エネルギー効率の高い閉鎖循環システムの導入により、ホシガレイ等の高品質な放流用種苗を低コストで生産します。
■沿岸資源の再生と持続的利用のための「三陸里海モデル」の実証
クロソイの種苗放流やアサリの天然発生稚貝の保護等により、これら資源の加入量を増加させます。さらに、親資源の取り残しにより自立的な再生産を確保し、継続的な種苗の大量放流に依存することなく天然資源を高いレベルで維持する手法を開発します。これらにより、資源の増殖コストを軽減できることを実証します。
4.ワカメ等の大規模海藻養殖の効率化システムの実証研究
■大規模ワカメ養殖システムの設計
ワカメの刈り取り等の海上作業や塩蔵ボイル加工作業上の課題を明らかにするとともに、ステークホルダーを対象とした調査・分析により求められる製品規格を把握し、加工製造コンセプトを決定、その上で、省力化技術や省エネルギー化技術を組み込んだ大規模ワカメ養殖システムのプランを作成します。
■大規模養殖ワカメ刈り取りおよび自動間引き装置、自動芯抜き装置の開発
大規模養殖経営等に向け、定置網船を活用した大規模刈り取り装置の開発や厳冬期に行わなければならない間引き作業を省力化する装置の開発、また、最も作業時間を要している芯抜き作業を省力化する装置を開発するとともに実用化マニュアルを作成します。
■ワカメ生産およびコンブ乾燥の高度化・省エネ化技術の開発
ワカメ養殖・加工作業工程での生産効率やエネルギー使用構造を明らかにするとともに、コンブ乾燥作業に係る熱移動等のシミュレーションを開発・活用することなどにより、ワカメ・コンブ養殖における省エネルギー化モデル・運用方法を提案します。


開放型研究室(オープンラボ)までの交通アクセス

本研究課題の成果は、岩手県水産技術センター内に設置している開放型研究室(オープンラボ)でご覧になれます。
岩手県水産技術センター
住所:〒026-0001 岩手県釜石市大字平田3-75-3
電話:0193-26-7911(代表)
FAX:0193-26-7910
URL:http://www.pref.iwate.jp/~hp5507/
☆交通:JR釜石線(山田線)釜石駅より車で約10分
関連情報
研究成果
- 漁業・漁村
- 岩手県
- 天然資源への影響を軽減した持続的な漁業・養殖業生産システムの実用化・実証研究
この研究についてのお問い合わせ先
この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。
問い合わせ先:(独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
担当者:資源生産部長 堀井 豊充
住所:〒985-0001 宮城県塩釜市新浜町3-27-5
TEL:022-365-1191(代表)
FAX:022-367-12501
E-mail:thorii@affrc.go.jp
お問合せ先
農林水産技術会議事務局研究推進課
担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209