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農林水産技術会議

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アワビの緊急増殖技術開発研究

実証地域
岩手県
分野
漁業・漁村
分類
網羅型研究
代表機関
(独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
参画研究機関
(公立試験研究機関)岩手県水産技術センター
(大学)東京大学大気海洋研究所
研究実施期間
平成23~29年度
PDF版
アワビの緊急増殖技術開発研究

エゾアワビ資源の回復を目的とした資源管理・増殖技術の開発

東日本大震災の大津波により、エゾアワビの天然稚貝が減少し、またアワビ種苗生産施設が全壊しました。このため、天然資源の減少が 危惧される一方、種苗放流による資源増強もしばらくは見込めないことから、今後数年間にわたるアワビ資源の低迷が懸念されます。

本研究では、被災したアワビ種苗生産体制の早期復興に際して、従来よりも効率的な種苗生産技術を開発し、生産コスト削減効果などを 分析した上で漁業協同組合などへ技術移転を行います。また、津波攪乱により減少した資源を維持し回復させながら漁業を可能とする資源 管理・増殖方策を明らかにして、資源管理の主体となる漁業団体などに情報を発信します。

この目標のため、
1.新たな種苗生産工程による高品質・低コスト化技術の開発
2.効率的な資源管理・増殖技術の開発
の研究課題をたて、実用化・実証研究に取り組んでいきます

1.新たな種苗生産工程による高品質・低コスト化技術の開発

■二次成熟卵を用いた種苗生産技術の開発

これまでの研究から、一度採卵した親貝を1ヶ月程度の期間をおいて再成熟させ産卵すると、脂質や蛋白質の含量が多く、稚貝までの生残率が高い良質卵が得られることが明らかにされています。
この特性を利用して、親貝に良質卵を産ませ、稚貝の生残率を高めることにより、従来よりも効率的に種苗の生産量を確保することが可能となる技術を開発します。

■好適餌料を用いた飼育技術の開発

多種の餌料藻類が自然繁茂した稚貝飼育板

これまでの種苗生産施設では、付着性微細藻類を自然繁茂させた飼育板を利用して稚貝を生産してきました。しかし、このような飼育板上では様々な藻類種が繁茂し、必ずしも稚貝にとって適した餌が常に供給されるとは限りませんでした。
成長が速い稚貝を安定して生産するためには、稚貝にとって好適な餌料が常に供給される環境を整える必要があります。この課題では、稚貝の生残・成長に適した餌料藻類種を明らかにし、この藻類を単独で与えて生産可能となる飼育技術を開発します。

稚貝の餌となる様々な付着珪藻

単種の藻類を摂食する初期稚貝

2.効率的な資源管理・増殖技術の開発

三陸沿岸の調査定点で震災前後のエゾアワビ資源状態を比較した結果、当時の0~1歳(2009および2010年級群)の稚貝が震災後に大きく減少していました。また、場所によっては、震災後に発生した2011年級群の生息密度が著しく低いことが明らかとなりました。エゾアワビは4~5歳で漁獲されるので、今後、漁獲の対象となる資源が減少し、さらに産卵量の低下による新規発生群の衰退が心配されます。

そこでこの課題では、残された資源の状態を正確に把握し、この資源に対して漁獲する割合や放流による補強の程度について様々なシナリオを設定し、今後の資源の動向を予測します。この結果から、乱獲を回避し持続的に生産が可能となる資源管理方策を明らかにします。

関連情報

研究成果

漁業・漁村
岩手県
天然資源への影響を軽減した持続的な漁業・養殖業生産システムの実用化・実証研究

この研究についてのお問い合わせ先

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

問い合わせ先:(独)水産総合研究センター東北区水産研究所

担当者:高見秀輝
住所:〒985-0001 宮城県塩竃市新浜町3-27-85
TEL:022-365-1191
E-mail:htakami@affrc.go.jp

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課

担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209

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