プレスリリース
「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律」に基づき開発供給実施計画を認定しました
農林水産省は、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(令和6年法律第63号)(以下「スマート農業技術活用促進法」という。)に基づき、事業者から申請された開発供給実施計画の認定を行いました。
今回の認定と合わせて、累計39計画を認定しています。
1.趣旨
スマート農業技術活用促進法では、農業において特に必要性が高いと認められるスマート農業技術等の開発及びその成果の普及に関する計画(開発供給実施計画)を農林水産大臣が認定し、認定を受けた事業者は、金融・税制等の支援措置を受けることができます。
今回、事業者から申請のあった22の開発供給実施計画について、同法第13条第4項に基づき内容を審査したところ、いずれも要件を満たすものと認められることから、農林水産大臣の認定を行いました。
いずれも、人手を要する農作業の労働時間の削減に資する技術と認められるものであり、これらのスマート農業技術の開発及び供給を通じて、スマート農業技術の活用が促進され、農業の生産性が向上していくことが期待されます。
2.申請者の開発供給実施計画の概要
川辺農研産業株式会社(申請代表者)
カボチャ栽培において、高負荷な作業である収穫作業の自動化が可能な、AIによるカボチャの果実を正確に認識する技術と3軸直行ロボットによるカボチャ自動収穫ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「露地野菜・花き作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術
(カボチャの収穫及び運搬作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・ なし
フタバ産業株式会社(申請代表者)
独自に開発したAI深層学習による画像処理技術を活用し、雑草の成長点や害虫の急所等を、エネルギー効率の良い青色レーザーを用いてピンポイントに照射し、死滅させるレーザー除草・害虫防除ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「露地野菜・花き作」の「除草及び防除」のうち「株間除草機や自律走行型除草機等の除草作業の省力化に係る技術」及び「ドローンや自律走行型の農薬散布機等の防除作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術
(露地野菜における除草及び害虫防除作業に要する労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
国立大学法人三重大学(申請代表者)
かんきつの収穫・運搬作業における労働時間の削減に係る、ロボットアームの制御や収穫対象果実の判別技術等を統合した自動収穫ロボットの開発及びロボット収穫用園地向けの双幹苗木と自動収穫ロボットをセットとした供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(かんきつの収穫・運搬作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・登録免許税の軽減
株式会社デンソー(申請代表者)
ジベレリン処理、摘粒、袋掛けといった複数のブドウ栽培管理作業や収穫・運搬作業が可能な、AIによる果樹環境認識技術・ロボット制御技術を搭載したブドウ作業支援ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「栽培管理」のうち「自動収穫機の汎用化を通じた受粉、摘果、摘粒、摘葉、ジベレリン処理、剪定、剪枝、整枝、被覆等の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
・「果樹・茶作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(ブドウの栽培管理、収穫及び運搬の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
ヤンマーホールディングス株式会社(申請代表者)
リンゴの高密植栽培等の園地に対応できるよう、高さ方向に複数のロボットアームを配置することで、摘果・収穫作業を自動化するロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「栽培管理」のうち「自動収穫機の汎用化を通じた受粉、摘果、摘粒、摘葉、ジベレリン処理、剪定、剪枝、整枝、被覆等の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
・「果樹・茶作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(リンゴの摘果、収穫作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
国立大学法人愛媛大学(申請代表者)
かんきつの摘果・収穫・運搬作業を省力化するための、急傾斜かんきつ園地でも運用可能な自動摘果・収穫・運搬ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「栽培管理」のうち「自動収穫機の汎用化等を通じた受粉、摘果、摘粒、摘葉、ジベレリン処理、剪定、剪枝、整枝、被覆等の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
・「果樹・茶作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(かんきつの摘果作業及び収穫・運搬作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社(申請代表者)
トマトやイチゴ等において、デジタルツイン(リアルタイムに圃場の状態を仮想空間で再現)技術を活用し、環境モニタリングシステムと連動して自動航行で受粉を行う小型受粉ドローン及び自律走行型の害虫吸引ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「施設野菜・花き作」の「栽培管理」のうち「自動収穫機の汎用化等を通じた摘葉・摘果等の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
・「農作業共通」の「衛星やドローン等を用いた農産物 の生育、土壌及び病害虫等のセンシング結果等に連動した農作の省力化又は高度化に係る技術」により労働時間20%削減に資する技術
(受粉、防除作業の省力化による労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
TOPPANデジタル株式会社(申請代表者)
果菜類の中でも特に多くの人員と労働時間を要する、ししとうの選別から包装までの作業を完全自動化する装置及び効率的な最適収穫手法等のアドバイスを行う営農活動管理クラウドシステムの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「施設野菜・花き作」の「選別、調製及び出荷」のうち「自動パック詰め機等の選別、調製又は出荷作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減等に資する技術
(ししとうの選別から包装までの作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
ARAV株式会社(申請代表者)
堆肥や周辺環境の認識技術や、自動車の自動運転技術を応用した建機の自動走行の技術等により、家畜排せつ物の管理の省力化を可能とする堆肥化ロボット(自律駆動ホイールローダ)の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「畜産・酪農」の「飼養管理」のうち「堆肥化ロボット等による家畜排せつ物の管理の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(堆肥化処理作業(切り返し等)に要するホイールローダの運転時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
三陽機器株式会社(申請代表者)
除去が難しく、機械除草が困難な水田の中畔にも対応可能な、畦畔の形状や蛇行、変形をAIにより識別して自律走行する自動草刈機の開発及び供給。
(令和7年5月30日修正)
【本技術による生産性向上の効果】
・「水田作」の「除草」のうち「自律走行型除草機や自動水位管理等による抑草等の除草作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術
(水田作における除草作業に要する労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
国立大学法人京都大学(申請代表者)
自動充電により連続稼働が可能で、中山間地域における休耕地、畦及び傾斜地の雑草の草刈作業やピーマンの露地栽培等における防除作業を自動で行う、小型電動農機の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「露地野菜・花き作」の「除草及び防除」のうち「株間除草機や自律走行型除草機等の除草作業の省力化に係る技術(有機栽培体系に対応した技術を含む。)」により労働時間80%削減に資する技術等
(中山間地域を含めた露地野菜等の草刈・防除作業に要する労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社アイナックシステム(申請代表者)
収穫ハンド等の交換によりイチゴ、トウガラシ、ミニトマトの収穫に対応可能で、収穫物の自動搬送及び収穫カゴの自動交換機能を持ち、安定した収穫率と収穫速度の性能を有する自動走行型収穫ロボットの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「施設野菜・花き作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(イチゴ、トウガラシ、ミニトマトの収穫及び運搬作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
Workauto 株式会社(申請代表者)
果樹園や田畑周辺の畦畔、枕地を含めた草刈作業において、指定範囲内や指定ルートに従い、建物の影や木の下等の位置情報の精度が不十分な場所でも安定して対応可能な自律走行型の自動草刈機の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「除草及び防除」のうち「急傾斜地等の不整形な園内における自律走行型除草機等の除草作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削除に資する技術等
(果樹園等での除草作業に要する労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
摂南大学(申請代表者)
サトウキビ栽培における、灌水の作業時間削減と限られた水資源の効果的な活用に資する、局地的な温湿度、風速、日射量等の微気象データや栽培環境条件等に基づいた遠隔・自動灌水技術の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「農作業共通」のうち「衛星やドローン等を用いた農産物の生育、土壌及び病害虫等のセンシング結果等に連動した農作業の省力化又は高度化に係る技術」により労働時間20%削減に資する技術
(サトウキビの灌水作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社NEWGREEN(申請代表者)
水稲の有機栽培における除草時間の削減に資する、水管理システムとの自動連携・水位調整機能等を有した稼働効率の高い自動抑草ロボットの新型アイガモロボの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「水田作」の「除草」のうち「自立走行型除草機や自動水位管理等による抑草等の除草作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術
(水稲の除草作業における労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社FieldWorks(申請代表者)
畑作や露地野菜作において安定した畝間の自動除草や防除が可能な、自律走行型の安価な除草・防除ロボット「親子式ウネカル」の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「露地野菜・花き作」の「除草及び防除」のうち「株間除草機や自律走行型除草機等の除草作業の省力化に係る技術」及び「ドローンや自律走行型の農薬散布機等の防除作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術等
(露地野菜等における除草・防除作業に要する労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社ビジョンテック(申請代表者)
大豆等の栽培において、地下水位、湿害リスク値等に係る各推定モデルに基づき、計画的な土壌水分管理をサポートして収量向上を実現する土壌水分予測・制御アプリの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「農作業共通」のうち「衛星やドローン等を用いた農産物の生育、土壌及び病害虫等のセンシング結果等に連動した農作業の省力化又は高度化に係る技術」により付加価値額20%向上に資する技術
(大豆等の収量向上による付加価値額の向上)
【活用する支援措置】
・なし
プロダクションソリューションエンジニアリング株式会社(申請代表者)
AIによる花蕾検出・大きさ計測技術(自動判別技術)、外葉切断技術、収穫物回収技術などにより出荷に適したブロッコリーを自動選別して収穫する自動収穫機の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「露地野菜・花き作」の「収穫及び運搬」のうち「自動収穫機や台車ロボット等による収穫又は運搬作業の省力化に係る技術」により労働時間80%削減に資する技術
(ブロッコリーの収穫作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
国立大学法人鳥取大学(申請代表者)
ナシとリンゴ向けの、花粉採取の最適な時期の判定技術と、花蕾の一斉採取と葯の精選を自走式で行う採取機及び葯殻の混入した粗花粉から純花粉への精製機から成る、「花粉の省力採取・精製システム」の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「果樹・茶作」の「栽培管理」のうち「自動収穫機の汎用化を通じた受粉、摘果、摘粒、摘葉、ジベレリン処理、剪定、剪枝、整枝、被覆等の省力化に係る技術」により労働時間60%削減に資する技術
(果樹における花粉採取・精製作業の労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社クボタ(申請代表者)
大区画圃場や多数圃場の見回り時間の削減等による作業適期・収穫適期判断の効率化及び追肥作業の効率化などに資する、ユーザーへの撮影画像の更新頻度が高い衛星リモートセンシングシステムの開発及びオンラインサービスでの供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「農作業共通」のうち「衛星やドローン等を用いた農産物の生育、土壌及び病害虫等のセンシングの結果等に連動した農作業の省力化または高度化に係る技術」により労働時間20%削減に資する技術
(大区画・多数ほ場管理の見回り時間の削減等による作業適期・収穫適期判断の効率化及び追肥作業の効率化)
【活用する支援措置】
・なし
株式会社クボタ(申請代表者)
農業機械に後付けすることで各農機の位置や作業情報等を一元管理し、幅広い作業の履歴を可視化できるトラッキングデバイス(KSASシンプルコネクト)の位置情報の記録頻度の向上等の開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「水田作、畑作等」の「収穫、運搬及び調製」のうち「農業機械や調製施設の稼働状況に基づく作業判断の最適化システム等の収穫、運搬又は調製作業の省力化に係る技術」により労働時間20%削減に資する技術等
(位置情報、作業情報の一元管理によるライスセンタ等への移動関連時間の削減)
【活用する支援措置】
・なし
GREEN OFFSHORE株式会社(申請代表者)
施設園芸における環境データ等に基づいた適切な灌水、窓開閉、温度等の制御装置について、他社製品とも連携可能で、かつ、低コストで導入可能な環境制御システムの開発及び供給。
【本技術による生産性向上の効果】
・「農作業共通」のうち「衛星やドローン等を用いた農産物の生育、土壌及び病害虫等のセンシング結果等に連動した農作業の省力化又は高度化に係る技術」により労働時間20%削減に資する技術
(施設園芸の潅水作業、環境制御に係る労働時間の削減)
【活用する支援措置】
・日本政策金融公庫の長期低利融資
・登録免許税の軽減
添付資料
- (別添1)申請書の開発供給実施計画の概要(川辺農研産業株式会社)(PDF : 383KB)
- (別添2)申請者の開発供給実施計画の概要(フタバ産業株式会社)(PDF : 350KB)
- (別添3)申請者の開発供給実施計画の概要(国立大学法人三重大学)(PDF : 490KB)
- (別添4)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社デンソー)(PDF : 442KB)
- (別添5)申請者の開発供給実施計画の概要(ヤンマーホールディングス株式会社)(PDF : 717KB)
- (別添6)申請者の開発供給実施計画の概要(国立大学法人愛媛大学)(PDF : 1,007KB)
- (別添7)申請者の開発供給実施計画の概要(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社)(PDF : 420KB)
- (別添8)申請者の開発供給実施計画の概要(TOPPANデジタル株式会社)(PDF : 514KB)
- (別添9)申請者の開発供給実施計画の概要(ARAV株式会社)(PDF : 436KB)
- (別添10)申請者の開発供給実施計画の概要(三陽機器株式会社)(PDF : 499KB)
- (別添11)申請者の開発供給実施計画の概要(国立大学法人京都大学)(PDF : 395KB)
- (別添12)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社アイナックシステム)(PDF : 490KB)
- (別添13)申請者の開発供給実施計画の概要(Workauto株式会社)(PDF : 353KB)
- (別添14)申請者の開発供給実施計画の概要(摂南大学)(PDF : 528KB)
- (別添15)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社NEWGREEN)(PDF : 403KB)
- (別添16)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社FieldWorks)(PDF : 266KB)
- (別添17)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社ビジョンテック)(PDF : 457KB)
- (別添18)申請者の開発供給実施計画の概要(プロダクションソリューションエンジニアリング株式会社)(PDF : 445KB)
- (別添19)申請者の開発供給実施計画の概要(国立大学法人鳥取大学)(PDF : 528KB)
- (別添20)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社クボタ)(PDF : 490KB)
- (別添21)申請者の開発供給実施計画の概要(株式会社クボタ)(PDF : 451KB)
- (別添22)申請者の開発供給実施計画の概要(GREEN OFFSHORE株式会社)(PDF : 552KB)
お問合せ先
農林水産技術会議事務局研究推進課
担当者:飯田、阿部、佐藤
代表:03-3502-8111(内線5893)
ダイヤルイン:03-3502-7438