生体調節機能成分を活用した野菜生産技術の実証研究
- 実証地域
- 宮城県
- 分野
- 農業・農村
- 分類
- 網羅型実証研究
- 代表機関
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(食品総合研究所)
- 参画研究機関
- (国)東京大学、(国)高知大学、慶応大学、(国)東京農工大学、山形県農業総合研究センター園芸試験 場、宮城県農業・園芸総合研究所、(独)国立健康・栄養研究所、(公社)農林水産・食品産業技術振興協 会、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(野菜茶業研究所、東北農業研究センター、 九州沖縄農業研究センター)
- 研究実施期間
- 平成23年度~平成27年度
1 研究の背景・課題
被災地の復興にあたっては、施設等の復旧だけでなく、そこで生産される農産物の高付加価値化が望まれる。農産物等の有する健康機能性は、高付加価値化に資すると考えられるが、野菜の機能性やその向上法などに関する情報は少ないため、さらなる知見の集積が求められている。
2 研究の目標
宮城県の施設栽培農産物の高付加価値化を目的として、宮城県が主たる生産地域となりうる野菜・果物についての健康機能性研究(糖尿病予防作用、眼疾患予防作用、抗酸化性)、ならびにそれらの機能性あるいは有効成分含量を高めるための野菜・果物の生産方法の実証研究を進める。
3 研究の内容
- ナス科野菜に含まれるオスモチンは、抗糖尿病作用を持つと考えられることから、オスモチン定量法を確立し、品種・系統、栽培条件の異なる野菜可食部中のオスモチン含有量を測定するとともに、マウスを用いてオスモチン類の糖尿病予防作用メカニズムを解明する。
- ホウレンソウの品種や栽培条件等の違いによるルテイン含有量の変動調査ならびに、ヒトの体内のルテイン量の測定を行うとともに、ルテイン投与による眼疾患等の予防効果を明らかにする。
- イチゴ、ナス科野菜、ホウレンソウ等の宮城県で生産される農産物等の抗酸化能を測定し、品種・系統、あるいは栽培条件等による抗酸化能値の変動や抗酸化能値と関連する健康機能性を明らかにするとともに、抗酸化能値を活用した農産物の高付加価値化を図る。
4 研究成果概要
- ナス科野菜(37試料)中のオスモチン含有量(抗体測定法)は、トマト18.5-147、0.05%塩ストレストマト18.5-147、パプリカ25.7-635、ナス0-25.6μg/g乾物重であった(表1)。
- 寒締め栽培により、ホウレンソウ中のルテインを含むカロテノイド類は約20%増加した(図1)。
- 寒締めホウレンソウを長期摂取すると、摂取後1ヶ月目から網膜黄斑色素密度(MPOD)(図2)及び血清ルテイン含量が有意に上昇するとともに最高矯正視力が上昇した。
- 宮城県特産あるいは宮城県を主産地とする野菜の抗酸化能(新鮮重gあたりのH-ORAC値)を測定したところ、せり、みつば、ナス、春菊が高かった(図3)。
- 収穫時期の異なる仙台いちごのORAC法による抗酸化能評価を行ったところ、「もういっこ」では親油性ORAC(L-ORAC)より親水性ORAC(H-ORAC)の方が高い値を示し、総ORAC値の90%以上が親水性ORAC(H-ORAC)由来であった。収穫時期により親水性ORAC(H-ORAC)に1.7倍程度の差があり、両品種とも5月収穫のORAC値が高かった(図4)。
- 機能成分表示マニュアルの作成に向けた消費者意識調査のため、農産物への機能性表示及び、抗酸化能に関する知識についてのアンケート調査を仙台市で実施した。農産物の機能性表示への関心は高く、78%の人が高機能農産物に対し、値段に関係なく買いたい、または、10%から30%のコスト増を受容することがわかった(表2)。



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関連情報
パンフレット
- 農業・農村
- 宮城県
- 生体調節機能成分を活用した野菜生産技術の実証研究
予算・事業概要
事業評価
- 平成27年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 532KB)
- 平成26年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会議事概要(PDF : 610KB)
- 平成24年度食料生産地域再生のための先端技術展開事業評価委員会の議事概要(PDF:226KB)
- 平成23年度被災地の復興のための先端技術展開事業評価委員会の議事概要(PDF:234KB)
関連ホームページ
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