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農林水産技術会議

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中山間地域における施設園芸技術の実証研究

実証地域
岩手県
分野
農業・農村
分類
網羅型研究
代表機関
岩手県農業研究センター
参画研究機関
(独法研究機関) (独)農業・食品産業技術総合研究機構(野菜茶業研究所、東北農業研究センター、近畿中国四国農業研究センター、農村工学研究所)
(民間) 富士通(株)、東日本機電開発(株)、石村工業(株)、木楽創研(株)
(大学) (国)岩手大学、(国)茨城大学
研究実施期間
平成25年度~平成29年度
PDF版
中山間地域における施設園芸技術の実証研究

施設園芸におけるイニシャルコスト、ランニングコストを低減した雇用型経営を構築するとともに地域の将来を担う経営体の育成・定着を図ります。

研究概要

多くの農地が被災した岩手県沿岸南部地域では、平成25年度から果菜類 の施設園芸を展開し、同時に担い手を育成しながら農業の復興を図る計画 である。

被災地域は狭隘で傾斜の多い地形のため大規模な施設園芸の適用は困難であること、夏季冷涼な気象特性を有すること、農地の復旧のための表土除去により作土が不良な農地が多いこと、そして遠隔地で燃油や農業資材の高騰に対するコスト低減が不可欠であることも考慮し、地域の条件に適応した施設園芸生産を進めるための研究開発と現地における実証研究を行い、施設コストと暖房コストの削減、新作型や新たな栽培法と情報通信技術(ICT)を活用した技術の最適化による収益率の向上を目指す。

研究目標

上記、研究概要の1~3の技術を総合的に適用し、以下の目標を達成する。

  1. (1) 園芸施設のイニシャルコスト、ランニングコストを低減
    ⇒坪単価5万円以下の木骨ハウス、資材コスト2割削減の建設足場利用ハウスの導入
    ⇒ユビキタスシステムの導入コスト3割削減
  2. (2) 暖房コストを5割削減
    ⇒木質バイオマス加温機による暖房及び局所加温によるランニングコストの5割削減
  3. (3) 収益性を被災前に比べて倍増
    ⇒トマトは隔離床栽培による作型の組み合わせと肥培管理の省力化により周年収量
  4. 30t/10aを目指す。
    ⇒イチゴは促成作型と夏秋どり作型を組み合わせた周年生産により周年収量8t/10a を目指す。
  5. (4) 地域資源を活用し地域経済を活性化
    ⇒地域を担うリーディング経営体を育成・定着⇒産地再生・発展へとつなげる。

研究内容

1.中山間立地に適応性の高い低コスト耐候性ハウスの実用化と設置技術の実証

(1)地域木材を有効活用した「木骨ハウス」の実用化実証(木楽創研、近中四農研、農工研)

木質製園芸用ハウス(木骨ハウス)は耐加重性が高く設計され、ある程度の不整形立地に対応し、コストが軽量鉄骨ハウスより安価である。この最適化を図り実用化する。

木骨ハウス

促成イチゴ定植

  1. (1) 植物の受光量を確保するための構造、工法、被覆資材等を検討する。
  2. (2) 耐腐朽性・耐久性及び一部に鉄骨資材の利用等により、坪当たり単価5万円以下を目指し経済性を評価する。

(2)狭隘・不整形な立地や傾斜地に適応する耐候性ハウスの寒冷地における実証研究(近中四農研、農工研)

建設用足場利用ハウス

木骨ハウスが建設が難しい狭小・不整形区画や傾斜地に建設用足場利用ハウスを設置し、被覆資材や内張り構造の検討を中心に構造も含めた高度化を図る。
また、パイプハウスにより営農展開する農家に対し、耐雪性に留意した構造強化技術(ダブルアーチ化)の高度化により冬春期の施設利用を図る。

(3)中山間立地並びに寒冷地条件に対応したハウス構造・立地評価(農工研)

耐風性・耐積雪性検証を中心に異なる構造(使用骨材、連棟や単棟、屋根形状、強度など)条件を踏まえて、立地に合わせた適正評価を行う。

2.地域木質資源を活用した低コスト暖房技術の実用化実証

(1)木質バイオマスを活用する小規模暖房機の開発実証(石村工業、岩手農研)

地域の木材産業で産出される間伐材、製材端材等と灯油を併用するバイオマス加温機の最適化を図ることを目的に燃焼時間の長期化を検討する。

(2)イチゴ閉鎖型高設栽培における局所暖房技術の実証研究(東日本機電開発、岩手農研)

温水循環システム

クラウン加温

イチゴ閉鎖型高設栽培システムでのイチゴの局所加温(バイオマス加温機で温湯を循環させる)技術を構築する。
※イチゴ閉鎖型高設栽培システム2層ハンモック構造(下層において底面給液)により、低コストで排液を系外に出さない高設栽培システム(4 (3)の図を参照)

(3)蓄熱・高断熱資材の実用化による暖房コストの低減(近中四農研)

中国の日光温室の考え方を参考にして、内張りに布団状の高断熱資材(布団資材)を利用した保温技術を実証する。

ダブルアーチハウス

3.分散する中小規模園芸施設の効率的管理技術の実用化実証

(1)中小規模施設の生産性と効率性向上を可能にする総合的環境制御技術の構築(岩手農研、野茶研、富士通)

中小規模施設に対応したユビキタス環境制御装置を開発し、量管理による養液管理や成長解析等を通じて、多収を実現する環境制御技術を確立する。
※ユビキタス環境制御装置給液装置や養液殺菌装置などの各装置ネットワークを通じて、個別に他の機器と調整しながら環境制御を行うシステム

(2)中小規模施設に対応可能な持続的養液栽培技術の実証研究(岩手大学、岩手農研)

閉鎖系養液栽培においてパルスパワー(パルス放電)技術を活用し、低コストな殺菌装置を開発する。また、これに対応する養液補正診断技術開発により、持続的養液栽培技術を確立する。
※パルスパワー(パルス放電)技術高効率で省エネルギーなパルスパワー(高度に圧縮した電力)により生成した非加熱プラズマを利用する技術

(3)温湯散布装置を用いたイチゴ病害防除技術の実証(茨城大学)

難防除病害である「うどんこ病」薬剤耐性菌を主対象に、熱ショック処理による抵抗性誘導効果獲得の品種・作型別最適処理条件を明らかにする。イチゴ高設栽培での最適処理条件が得られるよう既存の自走式温湯散布装置(ゆけむらー)を改良し、病害虫防除効果と化学合成農薬低減効果について総合的に実証する。
※温湯散布装置60℃~63℃の温湯を分速50cm程度で散布して、うどんこ病を予防する装置

4.中山間立地特性に適応した収益性の高い園芸品目の技術実用化総合実証

(1)トマトの隔離床栽培技術の実証(岩手農研、東北農研)

隔離床栽培

津波被災農地の土壌を用いない方法として、隔離床栽培技術を実証する。培地には粉砕杉樹皮等地域資源を有効活用したものを原材料として、コスト低減を図り、トマト短期・長期どりを組み合わせた周年生産技術を実証する。また、肥効調節型肥料を用いた低コストかつ簡易な施肥方式を確立し実証する。

(2)イチゴ周年栽培技術の実証(東北農研、岩手農研)

日長制御(短日処理)と細霧冷房

「四季成り性イチゴ」と「一季成り性イチゴ」を利用した夏秋栽培と促成栽培を組み合わせた周年栽培技術を実証する。周年栽培に適した品種や日長制御による花成制御技術、クラウン部加温・冷却による花成促進・安定生産技術、細霧冷房等による夏期の施設内昇温抑制技術等を総合した長期安定多収栽培の実証を行なう。

(3)イチゴ促成栽培における低コスト安定栽培技術の総合実証

木骨ハウス、バイオマス加温機、イチゴ閉鎖型高設栽培システムを総合的に組み合わせパッケージ化し現地に定着させる。

イチゴ閉鎖型高設栽培システムの栽培状況(左)と概念図(右)

研究課題間の連携

現地実証地までの交通アクセス

(株)JAおおふなとアグリサービス
現地住所:岩手県陸前高田市米崎町字川崎214 ■JR利用
震災の影響で大船渡線が不通となっています。
BRT(気仙沼駅~盛駅)利用により、高田病院駅 下車、徒歩15分
■自動車利用
大船渡市役所から約20分
陸前高田市役所から約10分

【現地実証地見学申し込み】
岩手県農業研究センター企画管理部研究企画室
TEL:0197-68-2331(代表)
FAX:0197-68-2361
E-mail:CE0008@pref.iwate.jp

関連情報

研究成果

農業・農村
岩手県
中山間地域における施設園芸技術の実証研究

この研究についてのお問い合わせ先

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

問い合わせ先:岩手県農業研究センター 企画管理部 研究企画室

TEL:0197-68-2331(代表)
FAX:0197-68-2361
E-mail:CE0008@pref.iwate.jp

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課

担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209

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