クラウドを利用した養液土耕栽培支援システムの開発

実証地域: 岩手県
分野: 農業・農村
分類: 個別要素技術型研究
代表機関: 明治大学
参画研究機関: （国）岩手大学
（株）ルートレック・ネットワークス
研究実施期間: 平成25年度～平成27年度
PDF版: クラウドを利用した養液土耕栽培支援システムの開発

基準となるハウス（マザーハウス）から離れている複数のハウス（キッズハウス）における培養液の供給量・濃度を自動制御する養液土耕栽培支援システムを開発します

研究概要

ICT養液土耕システムの培養液供給制御ロジックに高温対策、低温対策等を取り込み、夏の気温の変動の激しい岩手県沿岸中山間地域に適したシステムを開発する。

本研究では、熟練者の経験を反映させた基準となるハウス（マザーハウス）から離れている複数のハウス（キッズハウス）における培養液の供給量・濃度を自動制御する養液土耕栽培支援システムを、陸前高田市の園芸施設に構築する。春夏作のキュウリやミニトマトなど、秋冬作のレタスなどを対象にする。

本研究により、効率的、機能的、省力的で、環境負荷軽減型の養液土耕栽培が職人的技術に依存することなく可能となり、過疎化、高齢化、農業離れに悩む岩手県沿岸中山間地域の打開策になることが期待できる。

研究目標

ICT養液土耕栽培の制御ロジックの高度化により、集落全体の収量の増加と施肥量削減を行うことを目指す。

研究内容

研究の目的

施設園芸が点在する岩手県沿岸中山間地域に、クラウドを利用した複数の「ICT養液土耕システム」を設置する。このシステムで、熟練者の「経験と勘」を活かした制御信号を他の農家に提供し、地域全体の技術力の向上を目指す。

１．中山間地域における施設園芸技術の実証研究

（１）やませ地帯に適した制御ロジックの開発（明治大学、岩手大学）

やませ地帯では、夏の日々、時々刻々の気温、日射変動が激しく、不安定である。このような環境でICT養液土耕システム「ZeRo.agri」で適切に制御するには、やませ侵入日の過剰な灌水を防ぐシステムの導入が必要である。そのため、気温、日射と作物体の生育ステージとの関係による潜在的な要水量の変化を定量化し、この結果を、制御ロジックに取り込み、過剰な灌水を防ぐことができる。また、高温対策と低温対策が併用して必要である。高温では日中に培養液の代わりに水を供給するロジックを、低温では午前中に地温低下を防ぐために培養液供給を止めるロジックを取り込む。キュウリ、ミニトマト、レタスなどを対象に、実証的に効果を検証する。

（２）システム導入の経営評価と運用方法の検討（岩手大学、明治大学）

どの程度の規模（軒数と栽培面積）を、どのようにネットワーク化すれば経営的に採算が取れるかを明らかにする。この結果を、地域でシンポジウムを開催し、農家、JA、行政機関に公表する。また、将来にわたって地域でネットワークを維持、活用する運用方法を、農家、JA、行政機関を交えて検討する。

（３）制御ロジックの高度化とネットワークの構築（ルートレック・ネットワークス）

マザーハウスとキッズハウスにICT養液土耕システム「ZeRo.agri」を設置し、明治大学、岩手大学と共同して制御ロジックの高度化を実現する。技術力の高い農家をマザーハウス、技術的に未熟な農家をキッズハウスとし、マザーハウスの制御信号をキッズハウスに提供して培養液の供給量、濃度を自動制御する。クラウドを利用したICT養液土耕栽培支援システムにより、技術力の高い人の「経験と勘」を数値化して伝える。

研究課題間の連携

現地実証地までの交通アクセス

出典:この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムによる

■車を利用する場合
釜石自動車道宮守インターより50㎞(1時間)

■鉄道とバス輸送の場合
○JR大船渡線一ノ関駅-気仙沼駅(1時間30分)
○JR大船渡線気仙沼駅-脇ノ沢駅(50分)
脇ノ沢駅より現地まで徒歩(9分)
○JR大船渡線気仙沼駅-陸前高田駅(33分)
○JR大船渡線陸前高田駅-竹駒駅(5分)
竹駒駅より現地まで徒歩(7分)

■現地実証地住所
岩手県陸前高田市米崎町和方
岩手県陸前高田市竹駒町大畑

見学の際は、岩手大学を通じて、農家の了解を得てください。

クラウドを利用した養液土耕栽培支援システムの開発

研究概要

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