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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成23年度(第7回)業績概要

湯通しワカメ・コンブの塩漬工程の効率化に関する研究

受賞者:小野寺 宗仲 氏 39歳

地方独立行政法人 岩手県工業技術センター 主任専門研究員

略歴

平成8年岩手県入庁。平成10年東京水産大学大学院水産学研究科修了。岩手県水産技術センター主任専門研究員を経て、平成22年より現職。水産学博士。

業績概要

主な業績

昭和40年代に開発された三陸特産の湯通し塩蔵ワカメ・コンブの製造は、未だに手作業が主体であり、養殖漁家自らが塩蔵加工する経営体が多い。きつい作業が多く、高齢化や後継者不足のため、作業性の効率・省力化が課題となっている。従来の塩漬では、食塩の添加量に誤差を生じやすく、1~2昼夜(コンブは2昼夜)も塩漬する必要があったため、連続的な生産が出来ず、増産の妨げとなっていた。そこで、海藻の効率的な塩漬による増産化および後継者・新たな担い手育成による海藻養殖業の振興・発展に資するため、新しい海藻の塩漬の技術開発に取り組み、以下の成果をあげた。

1~2昼夜を要していた湯通し海藻の塩漬時間を、予め調製した飽和食塩水中で攪拌することにより大幅に短縮でき、製品の塩分(水分活性)が均一化することを発見した。

塩漬装置の仕様や塩漬条件を調べ、生産者から要望された500kgの海藻を1時間で塩漬できる攪拌型の塩漬装置(商品名:しおまる)を民間企業と共同開発した。

海藻の塩漬中は、適度な攪拌と常に飽和濃度の維持が必要であり、食塩の種類や海藻の形状等により塩漬時間が異なること等を確認し、操作マニュアルを作成・配布した。

操作法講習会や出荷製品の塩分等の品質調査を行い、海藻業界からの信頼を得た。

2008年より塩漬装置を販売し、東日本大震災前には約120台が稼働した。大震災後にも約200台を受注し、生産者に活力と希望を与え、三陸の復興に大きく貢献した。

2012年の春には、岩手・宮城県では約200台の塩漬装置が稼働する見込み。

背景

三陸特産の湯通し塩蔵ワカメ・コンブの塩漬作業は、生産者にとって最も手間と時間(1~2昼夜)もかかるため、効率的かつ連続的な生産を可能にする技術が求められている。

研究内容・成果

三陸ワカメおよびコンブのブランド化および震災復興に向けて

生産者への新塩漬法(装置)の普及・指導によるスムーズな現場導入への貢献

塩漬工程の省力・効率化による新たな担い手(後継者)の育成への貢献

湯通し塩蔵ワカメとコンブの生産量の安定化(復興)および塩分の均一化への貢献

主要論文・特許

?「湯通し塩蔵ワカメおよびコンブの高速塩漬方法の開発」日本水産学会誌、第74巻第4号(2008)

?「ワカメ(Undaria pinnatifida)の成分と加工特性に関する研究」東京水産大学大学院博士学位論文(2008)

? 特許第4457355号「海藻の迅速塩漬方法および該塩漬方法により製造した塩蔵海藻」(2010)

受賞評価のポイント

本研究業績は、これまで1~2昼夜要していた湯通し海藻の塩漬け時間を大幅に短縮できる塩漬方法を開発、普及させたものであり、本方法を利用した塩漬装置は、岩手・宮城県でも利用されており、三陸の復興や振興への貢献も期待される点が高く評価された。

連絡先

地方独立行政法人 岩手県工業技術センター

〒020-0852 岩手県盛岡市飯岡新田3-35-2

TEL: 019-635-1115

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622