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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成19年度(第3回)業績概要

新規探索法による生理活性物質WAF-1の発見とその植物病害抵抗性誘導機能に関する研究

受賞者 :瀬尾 茂美 氏 39歳

(独)農業生物資源研究所 主任研究員

略歴

平成8年筑波大学農学研究科修了、科学技術特別研究員等を経て、平成14年農業生物資源研究所入所。博士(農学)

業績概要

主な業績

 作物の環境低負荷型病害防除手法として、病原体を直接殺す殺菌剤等に代わり植物が本来有する病害抵抗性を高めて病気を防ぐ病害抵抗性誘導剤の開発に期待が集まっている。しかし、実際に候補物質と病原体を植物に与えて調べるという従来の探索法は多大な時間と労力を要することもあり、実用に耐えられる病害抵抗性誘導物質がみつかった例は少ない。
 病害抵抗性誘導物質は、特定の酵素などの因子の機能を高めることで植物に抵抗性をもたらすと考えられている。そのような酵素の活性の変化を指標にすれば病害抵抗性誘導物質を植物体外で探索できるのではないか、さまざまな病害や植物種で共通に働く酵素を用いれば、汎用的に病害抵抗性を示す物質を探索できるのではないかと考えた。そこで、病原体を感染細胞に封じ込めて蔓延を防ぐ過敏感反応と呼ばれる植物共通の感染防御システムに受賞者らが発見しWIPKと命名した酵素が関わることに着目、その活性を上昇させる物質を、環境への影響の少なさ及び将来的な実用化のし易さも見据えて天然低分子物質を中心に探索した。その結果、タバコ中のある低分子物質がWIPKの活性を高めることを発見し、これをWAF-1と命名した。WAF-1投与植物ではある種の病害に対する過敏感反応が高まっており、植物体外で示されたWAF-1の作用が植物体内でも発揮されていることを確認できた。また、WAF-1の化学合成にも成功し、合成品が天然品と同等の活性を有していることも確認した。
 病原体を扱わない本探索法は従来法に比較すると短時間でスクリーニング可能であり、本法により新しい病害抵抗性誘導物質を発見できると期待できる。

主要論文・特許

・「A diterpene as an endogenous signal for the activation of defense responses to tobacco mosaic virus infection and wounding in tobacco 」, Plant Cell, 15, 863-873 (2003)

・「Tobacco MAP kinase: A possible mediator in wound signal transduction pathways 」, Science, 270, 1988-1992 (1995)

受賞評価のポイント

 病害抵抗性に関係する植物内にある一酵素の活性を高める化学物質WAF-1を発見し、それが実際に病害抵抗性を高めることを確認した。また、この発見の際の手法を一般化し、同様の性質を示す物質の効率的な探索法を考案した。抵抗性誘導を使った農薬の開発につながるこれらの業績が高く評価された。

連絡先

(独)農業生物資源研究所

〒305-8602 茨城県つくば市観音台2-1-2

TEL: 029-838-7440

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622