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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成24年度(第8回)業績概要

ブドウ根頭がんしゅ病の拮抗細菌及び生物的防除に関する研究

受賞者 川口 章 氏 35歳

岡山県農林水産総合センター 農業研究所 研究員

略歴

平成14年九州大学大学院修士課程修了。同年岡山県庁入庁、岡山県農業総合センター農業試験場を経て平成22年より現職。平成19年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了。農学博士。

業績概要

主な業績

 「ブドウ根頭がんしゅ病」は 地上部や根に「こぶ」(がんしゅ 腫瘍)を形成して生育不良や枯死の原因となる難防除病害で、これまで簡易で正確な診断技術や効果の高い防除方法はなかった。そこで、新たな遺伝子診断法の開発、それを用いた病原細菌(Rhizobium vitis )を抑制する拮抗細菌の発見及び拮抗細菌を用いた防除効果の高い生物的防除法の開発を目的として、以下の成果をあげた。

●分離した病原細菌の同定とその病原性の有無を同時に判定する、簡易で正確な遺伝子診断法を開発した。

●開発した遺伝子診断法とトマト苗を用いた生物検定法を組合せ、非病原性で病原細菌の抑制効果が高い菌株を迅速、正確に判定する手法を開発し、それを用いて非病原性のRhizobium vitisに属する拮抗細菌を発見した。

●発見した拮抗細菌を生物農薬として現場で使用することを念頭に、「株浸漬法(培養液へのブドウ根の浸漬処理)」や「灌注処理法(培養液を株周囲の土壌に灌注処理)」を開発した。特に株浸漬法では、本病の発生株数を80~100%抑制し、本拮抗細菌の圃場レベルでの高い防除効果を明らかにした。

●生物農薬としての効果の安定性に必要な本拮抗細菌のブドウ樹への定着性と防除効果の持続性を明らかにした。

●本拮抗細菌はブドウ以外の各種農作物の根頭がんしゅ病に対しても高い防除効果があることを明らかにした。

背景

「ブドウ根頭がんしゅ病」は、地上部や根に「こぶ」(がんしゅ、腫瘍)を形成して生育不良や枯死の原因となる世界的な難防除病害で これまで効果の高い防除方法はなかった。

研究内容・成果

拮抗細菌を利用したブドウ根頭がんしゅ病防除技術の実用化を目指して

 拮抗細菌の国際特許を出願。現在、民間企業と生物農薬の共同研究開発を実施中。

 元々自然界に存在する微生物を用いた防除技術であり、環境保全型農業に貢献。

 世界中のブドウの生産及び本病が発生する各種農作物の安定生産に貢献。

主要論文・特許

?「Biological control of crown gall of grapevine, rose, and tomato by nonpathogenicAgrobacterium vitis strain VAR03-1」,Phytopathology 第98巻11号 (2008)

?「Inhibition of crown gall formation by Agrobacterium radiobacter biovar 3 strains isolated from grapevine」Journal of General Plant Pathology 第71巻6号 (2005)

?「Multiplex PCR for the identification of Agrobacterium biovar 3 strains」 Journal ofGeneral Plant Pathology 第71巻1号(2005)

受賞評価のポイント

難防除病害であるブドウ根頭がんしゅ病の病原細菌に対する簡易で正確な遺伝子診断法を開発するだけでなく、病原細菌の生育を抑制する拮抗細菌を発見し、拮抗細菌を用いた防除効果の高い生物的防除法を開発した点が高く評価された。を加害する害虫フジコナカイガラムシの有用な土着天敵を明らかにし、天敵を効率的に活用した総合防除体系を構築し、その技術がすでに県内において実用化されていることが高く評価された。

連絡先

岡山県農林水産総合センター 農業研究所

〒709-0801 岡山県赤磐市神田沖1174-1

TEL: 086-955-0543

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622