若手農林水産研究者表彰
平成21年度(第5回)業績概要

受賞者:村上(秋山)博子 氏 38歳
独立行政法人農業環境技術研究所 主任研究員
略歴
平成7年東京農工大学大学院農学研究科修了。農林水産省 農業環境技術研究所 研究員を経て、平成19年より現職。農学博士。
業績概要
主な業績
亜酸化窒素(N2O)は、京都議定書で削減対象の温室効果ガスであり、農耕地土壌は、その主要な発生源であるため、正確な発生量推定と発生削減技術の開発・評価は、重要な課題となっている。
本研究では 農耕地から発生するN2Oの発生量推定と発生削減技術の開発 評価に取り組み、その結果として、以下のような成果をあげた。
世界の水田からのN2O発生量について、網羅的なデータベースの構築と統計解析により排出係数を算定し、その結果はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)ガイドラインの2006年の改訂において、新しい排出係数のデフォルト値として採用されたことにより、世界各国の温室効果ガスインベントリの算定に活用
日本の農耕地におけるN2O発生量についても排出係数を算定し、その結果は、日本国温室効果ガス排出・吸収インベントリ報告書に採用され、排出量算定の精度向上に貢献
排出量算定のさらなる精緻化と削減技術の開発のため、自動連続測定装置および可搬型モニタリング装置を開発
発生削減技術の評価に関しては、これまで各圃場における評価ならびに定性的な評価しかなされていなかったが、被覆肥料および硝化抑制剤入り肥料のN2Oの平均的な削減効果について、世界の文献値の統計解析を行うことにより定量的に評価
背景
N2Oは、京都議定書で削減対象の主要な温室効果ガスであり、農業は、その主要な発生源である。このため、発生量 正確な推定および削減技術 開発 評価が必要である。
研究内容・成果

農耕地における温室効果ガスの発生量推定の精緻化と削減技術の開発に向けて
IPCCガイドラインの改訂(2016年頃予定)への貢献
日本の温室効果ガス国別インベントリにおける農業分野の排出量算定の改訂への貢献
削減技術の開発と技術の定量的な評価による温暖化防止施策への貢献
主要論文・特許
? 「Direct N2O emissions from rice paddy fields: summary of available data」 Global Biogeochemical Cycles, vol.19, GB1005 (2005)
? 「Estimations of emission factors for fertilizer-induced direct N2O emissions from agricultural soils in Japan: summary of available data」 Soil Scienceand Plant Nutrition, 52, 774-787 (2006)
? 特願2008-011540号「ガス採取装置」(2008)
本研究業績は、世界の水田からのN2O発生量について、網羅的なデータベースの構築と統計解析により排出係数の算定を行ったものである。その結果は、IPCCガイドラインの新しい排出係数のデフォルト値として採用されており、国際的な貢献が高く評価された。
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お問合せ先
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