このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

若手農林水産研究者表彰

平成26年度(第10回)業績概要

ニホンジカの食品資源化に向けた衛生管理手法に関する研究

受賞者 松浦 友紀子 氏 39歳

独立行政法人 森林総合研究所 北海道支所森林生物研究グループ 任期付研究員

略歴

平成16年北海道大学大学院獣医学研究科博士課程修了。北海道大学大学院医学研究科付属動物実験施設特別研究員を経て、平成22年より現職。平成22年より酪農学園大学特任准教授、平成25年より特任教授を兼務。博士(獣医学)。

業績概要

主な業績

 深刻な農林業被害をもたらしているニホンジカの個体数調整が、全国的に緊急の課題となっている。また、個体数調整に伴い多くの個体が捕獲されている現状において、捕獲個体の資源的利用の促進が求められている。
 そこで本研究では、法制度による一律規制とは異なり独自のシカ管理が実施可能な「猟区」制度が、有効な個体数管理システムになり得るかを検討し、捕獲個体の安全安心な資源利用法を提示した。具体的な成果は下記の通りである。

●わが国最大規模の北海道西興部村猟区において、国内初となる膣挿入式電波発信器による繁殖状態や、個体追跡の調査等によって、猟区の有効性と個体数調整上の限界を明らかにした。管理を進める上ではより細分化した狩猟管理ユニットが必要となることを提唱し、これを基本とした本猟区の管理計画作成に寄与した。

●規制の厳しいヨーロッパで認められているシカの野外内臓摘出について、日本では科学的根拠がないまま敬遠されてきた。そこで、内臓摘出を野外で行ったシカ肉と、従来の屋内処理場で解体したシカ肉について、表面の一般生菌数等を拭き取り検査した。その結果、両者に有意な差が無く、野外でも衛生的な処理が可能なことを初めて示した。

●狩猟者の減少と高齢化が課題となっている。将来の野生動物管理の担い手確保のため、全狩猟者の1%にも満たないものの、近年増加傾向にある女性狩猟者の活動を支援するための女性狩猟者ネットワークを設立し、野生鳥獣の食肉利用の普及や狩猟者の価値をアピールした。

背景

近年ニホンジカは個体数と分布を拡大し、林業活動や森林の生物多様性に深刻な影響を与えているなか、単なる駆除ではなく、林産資源として利用しつつ個体数管理する体制の整備が急務となっている。

研究内容・成果

地域主体のニホンジカ資源管理に向けて

捕獲が完全に管理可能で、正確な捕獲数が把握できる猟区制度の活用は、次世代型野生動物管理として有効となり得る。

森林や農地を利用するシカを森林産物と見なし、活用を見越して収獲する「収獲管理」の考えを取り入れることにより、その収益を地域に還元するシステムの構築が可能となる。

資格制度の導入により、肉の生産者としての捕獲者に衛生管理の知識と技術を与え、国際基準に合致した安心安全なシカ肉の流通が可能となる。

主要論文・特許

?「エゾシカの食資源化における課題とエゾシカ協会の取り組み」水利科学vol.57p38-51(2013)

?「英国の一次処理と資格制度」 獣医畜産新報 vol.65p451~454(2012)

?「Prevalence of antibody to hepatitis E virus among wild sika deer, Cervus nippon, in Japan」 Archives of Virology, 152 (7): 1375-1381(2007)

受賞評価のポイント

シカの個体数管理において、細分化された狩猟管理ユニットの有効性や捕獲個体の食肉利用における適切な処理法を提示するとともに、狩猟ネットワークを組織し、実用化に向けた活動を積極的に行っている点が高く評価された。

連絡先

独立行政法人 森林総合研究所

〒062-8516 北海道札幌市豊平区羊ケ丘7番地

TEL:011-590-5536

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622