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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成22年度(第6回)業績概要

動植物油脂を原料としたバイオ燃料製造技術の実用化

受賞者:飯嶋 渡 氏 39歳

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 主任研究員

略歴

平成8年北海道大学大学院農学研究科修了。農林水産省 草地試験場 研究員を経て、平成13年より現職。農学博士。

業績概要

主な業績

廃食用油などからバイオ燃料を製造する技術は従来より知られているが、燃料製造時に再利用困難な副産物が排出され、その処理が問題となっている。また、動物脂・パーム油などから製造した燃料は融点が高く、冬季の利用が困難であるため、あまり利用されていない。バイオ燃料製造・利用の推進及び循環型社会構築に資するため、これらの諸問題を解決し得る技術の開発に取り組み、以下の成果をあげた。

従来技術では原料の1~2割程度生成されていた、再利用が困難な副産物(グリセリンなど)を排出せずに、収率100%で油脂を燃料化できる技術を開発した。

融点が高いため既存技術では有効に利用できなかった動物脂・パーム油などからも氷点下で利用できる燃料を製造できる条件を確立した。

軽油代替燃料だけでなく、ガソリンと全く同じ成分を含むバイオ燃料も生成可能であることを明かにした。

食品加工工場において動物脂の燃料化・利用及び、地方自治体において廃食用油の回収・燃料化・利用を行い、製造コスト、エネルギー収支、二酸化炭素排出量などを評価した。

これらの技術を民間企業各社との共同研究により実用化し、製造装置の販売に至った。

背景

資源循環・再利用の推進、バイオ燃料普及のためにも、再利用が困難な副産物の生成抑制と 従来技術では利用困難な動物脂など 燃料化を可能とする技術が求められている。

研究内容・成果

低・未利用油脂のエネルギー利用による循環型社会の推進を目指して

民間企業数社による製造装置の開発と販売

副産物生成抑制と低・未利用油脂の燃料化技術によるバイオ燃料製造拡大への貢献

ガソリン代替燃料製造など廃油脂の新たな需要創出による循環型社会構築への貢献

主要論文・特許

?「メタノリシス反応と熱分解を併用した軽油代替燃料製造技術の開発(第1報)」農業機械学会誌,第70巻第2号(2008)

?特許第4122433号「副産物を生成しないバイオディーゼル燃料の無触媒製造法」(2008)

?特許第4448941号「動植物油脂を原料としたガソリン代替燃料、灯油代替燃料及び軽油代替燃料の製造方法」(2010)

受賞評価のポイント

本研究業績は、動植物油脂を様々なバイオ燃料に変換できる新たな技術を開発したものであり、これまでの技術では利用できなかった未利用の油脂資源を利用できる点、副産物を排出しない点等、資源循環型社会の構築への貢献も期待できる点が評価された。

連絡先

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター

〒305-8666 茨城県つくば市観音台3-1-1

TEL: 029-838-8909

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622