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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成20年度(第4回)業績概要

高病原性鳥インフルエンザの診断と予防法の開発に関する研究

受賞者:迫田 義博 氏 38歳

国立大学法人 北海道大学 大学院獣医学研究科 准教授

略歴

平成6年北海道大学獣医学部卒業。(独) 動物衛生研究所を経て、平成13年に北海道大学大学院獣医学研究科 助手。平成17年より現職。獣医学博士。

業績概要

主な業績

高病原性鳥インフルエンザは家禽の最重要ウイルス疾病であり、ひとたび発生すると社会的及び経済損失は莫大なものとなる。日本では2004年、2007年に養鶏農家で発生が報告され、さらに今年春には国外で家禽農家から漏出した高病原性鳥インフルエンザウイルスが、シベリアへ戻る途中のオオハクチョウに感染し、秋田、青森、北海道で斃死体として発見された。このことは、高病原性鳥インフルエンザの診断と予防技術をさらに向上させることにより、万全な防疫体制を準備する必要があることを再認識させている。
本研究では、2004年の国内発生で分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスの病 原性の解析を行い、本ウイルスがニワトリだけでなく様々な鳥類に感染することを明らかにした。また、従来は診断材料を採取してからH5またはH7亜型のウイルスが分離されたことを証明するまでに最低2日必要であったが、今回開発した簡易診断キットを用いることによって、鳥が斃死している現場でその診断が可能となった。また、万が一に備え国内で現在備蓄している鳥インフルエンザのワクチンは、効果の低い輸入品であるが、1回のワクチン接種で長期間効果が持続するワクチンの開発にも成功した。
これらの研究成果は産学連携により、製品として現場で利用可能な段階まで到達しており、今後の高病原性鳥インフルエンザ対策として大いに利用される技術といえる。

背景

高病原性鳥インフルエンザの診断と予防技術をさらに向上させ、万全な防疫体制を整える必要がある!!

研究内容・成果

動物とヒトのインフルエンザに対する「グローバルな先回り対策」に向けて

H5およびH7型の鳥インフルエンザ発生時に、開発した技術をすぐに有効利用できる。

H5、H7亜型以外の鳥インフルエンザウイルスやその他の動物インフルエンザの診断・予防法の開発の際に、今回のノウハウが生かされる。

ヒトの新型インフルエンザウイルス対策として、今回開発した技術をすぐに利用できる。

主要論文・特許

「Development of an immunochromatographic kit for rapid diagnosis of H5 avian influenza virus infection. 」Microbiol. Immunol. 51, 903-907 (2007)

「A vaccine prepared from a non-pathogenic H7N7 virus isolated from natural reservoir conferred protective immunity against the challenge with lethal dose of highly pathogenic avian influenza virus in chickens. 」Vaccine. 26, 2127-2134 (2008).

受賞評価のポイント

本研究業績は、世界的な問題である高病原性鳥インフルエンザの新しい診断と予防技術を世界に先駆けて開発したものであり、日本のみならず世界の高病原性鳥インフルエンザ対策に利用されうる技術である。さらにこれらの成果は、ヒトの新型インフルエンザ対策にも利用可能であり、獣医領域だけでなく公衆衛生領域にも大きく貢献することが期待されるとして高く評価された。

連絡先

国立大学法人 北海道大学

〒060-0818 北海道札幌市北区北18条西9丁目

TEL: 011-706-5208

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622