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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成18年度(第2回)業績概要

パラポックスウイルス感染症の診断法開発と疫学研究

受賞者 :猪島 康雄 氏 37歳

国立大学法人 岐阜大学 応用生物科学部 助教授

略歴

平成9年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。(独)動物衛生研究所を経て、平成17年より現職。獣医学博士

業績概要

主な業績

 パラポックスウイルス(PPV)感染症は、牛、羊、ヤギ、カモシカなどに見られ、まれにヒトにも感染する伝染性皮膚疾患である。PPVの感染は、乳量や肉量の減少などの経済的損失をもたらすにもかかわらず、国内のPPVの感染実態や、動物種ごとのPPVの違いや伝播性などは不明であり、その診断法の確立が強く求められていた。
 本研究では、すべての動物に利用可能なPPVの血清診断法を開発した。続いて、PPV属のあらゆるウイルスを検出できる迅速遺伝子診断法を開発し、ウイルスDNAの簡易抽出法とウイルスの分類法を開発した。その結果、①牛、羊では全国的に高率にPPVに感染していること、野生動物ではカモシカのみがPPVに感染していることを明らかにした。②カモシカに感染しているウイルスを初めて同定し、家畜とカモシカとの間でPPVが伝播している可能性を示唆した。③PPV属全種類の遺伝学的解析を行い、その差異を明らかにした。
 これらの成果は現在、動物衛生研究所や都道府県での病性鑑定、類症鑑別に用いられており、また海外の研究者らのウイルス研究等にも広く利用されている。
 本研究の成果は、診断技術の向上だけでなく、衛生管理に対する啓蒙活動、ウイルス感染の予防・制御による農家の収益アップ等に大きく寄与するものである。

パラポックスウイルスの感染・蔓延を予防

 ・生産性の向上 畜産農家の収益アップ(動物衛生分野に貢献)

 ・抗生物質等の使用量減少 残留抗生物質などの消費者の不安軽減(食品衛生分野に貢献)

 ・野生動物による感染症拡散の防止(自然環境、生態系の保全に貢献)

主要論文・特許

・「Detection and diagnosis of parapoxvirus by the polymerase chain reaction」 J. Virol. Methods, vol.84, p.201-208, 2000

・「Genetic heterogeneity among parapoxviruses isolated from sheep, cattle and Japanese serows (Capricornis crispus)」 J. Gen. Virol., vol.82, p.1215-1220, 2001

受賞評価のポイント

 本研究業績は、パラポックスウイルス(PPV)感染症について、口蹄疫などの海外悪性伝染病との類症鑑別を迅速かつ容易に行える新たな診断技術を開発したものであり、すでに家畜保健衛生所等での診断にも広く利用されており、評価できる。本成果は、家畜と野生動物との間でのPPV伝播の制御を通じて、本病のまん延防止につながるものと期待される。

連絡先

国立大学法人 岐阜大学

〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸1-1

TEL: 058-293-2863

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622