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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成23年度(第7回)業績概要

口蹄疫の特異的診断ELISAの開発に関する研究

受賞者:森岡 一樹 氏 37歳

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 主任研究員

略歴

平成12年日本獣医畜産大学卒業農林水産省 家畜衛生試験場 研究員を経て、平成13年より現職。獣医学博士。

業績概要

主な業績

口蹄疫は7つの血清型と強い伝染力を持ち頻繁にウイルス変異を起こすことから、防疫が困難である。口蹄疫のまん延防止には早期発見・通報と迅速な防疫対応が必要不可欠であり、特に、初発生時の診断には迅速性と正確性が求められる。PCR等の遺伝子検出法は迅速で高感度な方法であるが、遺伝子のミスマッチや非特異的な増幅産物が出現する可能性もあり さらに血清型判別を行うことが出来ないことから 抗原検出を併用する必要がある。しかし、現行の抗原検出ELISAは血清型判別が可能であるが、検出感度が不十分であることや使用する検体によっては非特異的な発色が認められるという問題が残されている。そこで、こうした問題を解決するために技術開発に取り組み以下の成果を上げた。

各血清型の口蹄疫ウイルスに対する単クローン抗体を作製し、各血清型に特異的に反応する単クローン抗体、および口蹄疫ウイルス間で相同性の高いアミノ酸領域を認識することにより7血清型に共通して反応する単クローン抗体を得ることに成功した。

作製した単クローン抗体について、全血清型および各血清型を個別に検出できる抗原検出ELISAおよび簡易抗原検出技術を開発した。

アジアで最も流行している血清型Oに対するウイルス中和能を有する単クローン抗体を用いて、特異性の高い抗体検出ELISAを開発した。

背景

口蹄疫の防疫やワクチンの使用においては、迅速かつ正確な血清型の判別が不可欠であり、同時に野外簡易抗原検出法の開発が必要である。

研究内容・成果

口蹄疫の的確な診断および速やかな防疫対策に向けて

新たな抗原検出ELISAの開発 ・・・・遺伝子診断との併用により診断の精度が向上

簡易抗原検出技術の開発 ・・・・・・臨床診断との併用により迅速な防疫措置が可能

周辺国への普及・・・周辺国の口蹄疫の発生状況が明らかとなる

特異性の高い抗体検出法の開発・・・抗体サーベイランスによる清浄化確認へ貢献し早期の清浄国復帰を可能とする

主要論文・特許

?「Comparison of the characters of the plaque-purified viruses from Foot-and-mouth disease virus O/JPN/2000」 Journal of Veterinary Medical Science Vol.70(7)(2008)

?「Neutralizing monoclonal antibody sandwich liquid-phase blocking enzyme-linked immunosorbent assay for detection of Foot-and-mouth disease virus type O antibodies」Journal of Veterinary Diagnosis and Investigation Vol.21(4)(2009)

?「Foot-and-mouth disease virus antigen detection enzyme-linked immunosorbent assay using multiserotype-reactive monoclonal antibodies」 Journal of Clinical Microbiology Vol.47(11)(2009)

受賞評価のポイント

本研究業績は、社会的要請に基づき、各血清型に特異的な反応系および共通な反応系を有する抗原検出ELISAおよび野外でも使用可能な簡易抗原検出技術を開発したもので、世界でもこれまで試みられたことのない技術として実用化への道も含め高く評価された。

連絡先

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所

〒187-0022 東京都小平市上水本町6-20-1

TEL 042-321-1441

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622