多用途型サトウキビ利用と認証制度改善策
- プロジェクト名
- 農産廃棄物を有効活用したGHG削減技術に関する影響評価手法の開発
- 分野
- バイオマス
- 研究代表機関
- 国際農研
- 共同研究機関
- 東北大学 連携機関:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、タイ農業局、東京大学
- 研究期間
- 平成30年度~令和4年度
- PDF版
- 多用途型サトウキビ利用と認証制度改善策
研究概要
東南アジアにおける農産廃棄物のバイオマス利用と温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向け、多用途型サトウキビ品種の導入効果を確認するとともに、オイルパームに関する持続可能性認証制度を相互比較の上、改善すべき点を提案しました。
これらにより、農産廃棄物のバイオマス利用が進み、GHG排出量の削減が期待されます。
研究背景
農産廃棄物は、食料生産と競合しないことから、持続可能な形でのエネルギー生産に重要な役割を果たすと期待されており、この農産廃棄物のエネルギー生産への有効利用に向けては、技術開発が活発に進められています。また、バイオエネルギーの生産や利用が、GHGの排出削減を含め持続可能な形で行われていることを認証するための第三者認証制度が、複数策定されています。
しかし、これらの第三者認証制度の利用には、小農や中小規模の事業者にとってコストが高いなどの課題があり、農産廃棄物のバイオマスを活用したGHG排出量削減につながる技術の普及には工夫が必要とされています。
そこで本研究では、農産廃棄物の活用例として、多用途型サトウキビを活用した農産廃棄物バイオマス利用技術の導入が、サプライチェーンからのGHG排出量削減に寄与するかを確認するとともに、既存の認証制度の特徴を整理して、改善すべき点をまとめることとしました。
主要成果
- 繊維収量の多い多用途型サトウキビ品種と、製糖用品種である従来品種を比較
➔ 砂糖収量は同程度、発電やエタノール生産に活用できる繊維収量は約1.5倍取れることを実証
- 繊維収量の多い多用途型サトウキビ品種の導入効果をライフサイクルアセスメント(LCA)で評価
➔ 製糖利用に加え、発電やエタノール生産を行うことにより、サトウキビのサプライチェーン全体からのGHG排出量が削減
図タイにおけるバガス利用のLCA
縦軸のプラス方向がGHG排出量を、マイナス方向が代替利用によるGHG排出削減量を、○印がライフサイクル全体におけるGHG排出量を示す。
Case 1:現状、Case 2:発電との組合せ、Case 3:エタノール生産と発電との組合せ、Case 4:砂糖生産を最大化した場合、Case 5:エタノール生産を最大化した場合
- オイルパームに関する持続可能性認証制度(RSPO,MSPO,ISPO,RSB,GGL,ISCC)の特徴を整理
➔ GHG排出量の少ない生産方法において認証制度が使いやすくなるよう、相互比較の上、改善すべき点を取りまとめ、今後の制度の提案に活用する
この研究についてのお問い合わせ先
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