カイコによる有用物質の効率的な生産技術
- プロジェクト名
- 動物ゲノムを活用した新市場創出のための技術開発
- 分野
- 農業(カイコ)
- 研究代表機関
- 農業生物資源研究所
- 共同研究機関
- 群馬県、大阪大学、九州大学、京都大学、京都工芸繊維大学、東京大学 等
- 研究期間
- 平成19年度~23年度
- PDF版
- カイコによる有用物質の効率的な生産技術(PDF : 1,554KB)
研究概要
1頭当たりタンパク質生産量を飛躍的に向上大量飼育システムで低コスト化
遺伝子組換えカイコを利用して、従来の方法では生産が困難であった有用タンパク質を安定的に低コストで生産する技術を開発しました。
このタンパク質を用いた骨粗しょう症診断キットはニットーボーメディカルによって平成24年に市販化され、順調に普及し、令和元年度には178万テスト分出荷されるまでになりました。(平成27年度民間部門農林水産研究開発功績者表彰において農林水産大臣賞を受賞)
同様の技術を用いて、カイコでしか作れない、またはカイコで作ると高機能になる医薬品や化粧品(抗体、ワクチン、コラーゲンなど)の開発が進められています。
研究背景
生物由来の有用物質(タンパク質)は、その設計図となる遺伝子を、生産に適した生物に導入(遺伝子組換え)することで収量や品質の向上と効果的な利用が可能になります。従来の哺乳類培養細胞などを用いた方法では、大量生産に高いコストがかかるなどの問題がありました。
カイコが作る繭はほぼ100%がタンパク質(絹)からなり、遺伝子組換え技術を応用すれば絹以外のタンパク質を作らせて取り出すことができます。カイコが持つこの高いタンパク質生産能力をより高度に活かし、様々な有用タンパク質や他の方法では生産が困難な有用タンパク質をカイコで安定的に低コストで生産させるための技術開発を進めました。
主要成果
- カイコの改良に役立つ全遺伝子情報の解析およびタンパク質の生産・抽出・精製法の高効率化
➔ 効率的なタンパク質生産に利用できる遺伝子を特定し、特定のタンパク質について1頭当たりの生産量を従来比約13倍に増加するシステムを構築 - カイコへの効率的な遺伝子導入技術の開発と大量飼育システムの開発
➔ 有用タンパク質の安定的な生産を可能にし、低コスト化
この研究についてのお問い合わせ先
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