セメント使わず、温度変化に対応
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農村地域には、農業に必要な水を農地に届けたり、余分な水を流し去る水路があります。日本全国にある水路の延長は、約40万キロ(地球10周分)にも達します。しかし、これらの水路の多くは、造られてから数十年が過ぎて古くなってきたことから、いろいろな所が壊れ、水路に水漏れ(漏水)が発生しています。漏水は、利用できる農業用水が減るだけでなく、周辺の道路や農地を水浸しにしてしまいます。 水路から漏水する原因は?水路の多くは、固いコンクリートでできていますが、実は、温度の変化によって伸び縮みをしています。水路には、この動きを吸収するために一定の長さごとに隙間(目地)を作っています。目地は木材やゴムなどでふさがれているので、普通は目地から漏水することはありません。しかし、これらの材料は、コンクリートよりも早く劣化するため、目地に隙間ができ、そこから漏水してしまうのです。 漏水補修テープで万全これまではセメントを使って目地を補修することが多かったので、セメントが固まるまで1日以上水がかからないようにする必要がありました。しかし、この補修テープは、貼り付けた後、すぐに水を流しても大丈夫です。また、セメントは固まると、目地の伸び縮みですぐにひび割れてしまいますが、この補修テープは、コンクリート表面にぴったり張り付くねばねばしたゴム(粘着材)と、その粘着材を長持ちさせる劣化しにくいゴムの二重構造になっています。このため、温度変化による伸び縮みにも対応でき、漏水を防ぐことができます。 どうやって補修するの?この補修テープによる目地の直し方は、とても簡単です。まず、たわしなどで補修テープを貼るコンクリート面をきれいに掃除します。そのあと、プライマーという接着剤を塗って、15分程度乾燥させます。そして最後に、補修テープを目地を覆うように貼り付けるだけです。あとは、指や柔らかいブラシで補修テープをコンクリートに押さえつければ完成です。 現在、この補修テープは約1万5千メートルの目地補修に用いられ、水路の漏水で困っている多くの農家や地域住民の方々に使われています。今後さらに利用が増える見込みです。
(絵:筒井 博子) 全国農業新聞[外部リンク] 2016年11月25日に掲載されたものを再編集 |
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