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農林水産技術会議

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放牧地の牛に自動で飲み水供給

 

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草木がもえる気持ちのいい季節になりました。この時期に郊外へドライブに出掛けると、道の傍らの放牧地で牛がゆったりと牧草をはんでいる風景が見られます。放牧地は、子牛が成長したり、牛乳や牛肉を生産する場所ですが、その中では、牛が草を食べて栄養とし、牛から排せつされるふんや尿に含まれる成分が土に戻って草の養分となり、再び草が成長して牛に食べられるという、実はとても効率のよい生産システムができあがっています。

実際に放牧地で牛を飼うためには、放牧地を囲う柵、エサとなる草、飲み水の三つは欠かすことができません。ほとんどの放牧地には水道が設置されていません。そのため畜産農家は毎日牛のために水を運ぶことになります。牛の頭数にもよりますが、毎日何百リットルという水を放牧地まで運搬するのはとても大変な作業です。そこで、川や井戸など放牧地の近くの水源からポンプで自動的に水をくみ上げて、放牧地にいる牛は好きな時に好きなだけ水を飲める省力的な「家畜飲水供給システム」が農研機構により開発されました。

放牧牛は、季節にもよりますが1日に10~50リットルほどの水を飲みます。同システムは小型ポンプを使い1時間に400リットル以上の水をくみ上げることができ、数頭の牛ならば水が不足することはありません。ポンプを動かすには、小型の太陽光パネルと自動車用のバッテリーが利用できます。多くの放牧地には電気牧柵用の太陽光発電装置を備えられており、小型ポンプの電源として活用できます。

このシステムを実際の放牧地で3年間使ってみたところ、大きなトラブルも無く安定的に飲み水を供給できることが確認されています。ポンプや太陽光パネルなどの材料を6万円前後で購入すれば、「家畜飲水供給システム」の自作も可能です。詳しくは、農研機構のホームページを参考にしてください。

最近では、耕作放棄地が増えていますが、ここに牛を放牧して、田畑の雑草を牛が食べることで農地を管理する方法に注目が集まっています。また、零細な農家の経営の安定化を図るため、エサ代や牛舎などの施設・設備費を大きく削減できる周年放牧で牛を飼う方法に関心が高まっています。このような放牧の活用の広がりとともに、同システムは、多くの農家に省力化をもたらす技術として普及していくことが期待されています。

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(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2016年5月27日に掲載されたものを再編集

お問合せ先

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担当者:広報班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
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