地下水位制御システムを利用
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水田の経営面積が大きくなると水を入れる前に種もみをまく(田植えをしない)手間をかけない稲作りが有効ですが、発芽の時期が天候に影響されがちです。また、水田は水がたまりやすいため畑として利用して小麦や大豆を育てると土の水分の調節が難しく、収量が減ったり、品質が低下することがあります。 今回は、水田の地下から土の水分を調節できる新しい技術を紹介します。この技術により、これらの問題を解決できます。 地下から土の水分調節「地下水位制御システム」は、地下から水を入れて、水面の高さを無動力で一定にコントロールでき、土の水分を調節します。このシステムでは、農地の地下に水を通すパイプと、給水口と排水口の両方に水面の高さを一定にコントロールする装置が装備されています。この仕組みにより、水面の高さを地面の下30センチから地面の上20センチの間で自由に調節できます。 土が乾燥して種もみの発芽が遅いときには、水面の高さを地面近くに設定して水を補給することで発芽しやすくなります。また、小麦や大豆を育てるときには、水面の高さを地面の下30センチ程度で設定すると、雨が多いときは排水口から余分な水を捨て、日照りが続けば給水口から足りない分だけを補給し、適度な土の水分を保ちます。 このように、作物にとって最適な水分に調節することで、安定した収量と品質を保つことができます。 地下水位制御システムの効果「地下水位制御システム」は全国の水田に導入されており、その面積は約1万ヘクタールで、福島県の猪苗代湖とほぼ同じです。導入された水田では、水を入れる前に種もみをまく稲作りが定着しています。畑として利用し、小麦や大豆を育てた場合、収穫量がこれまでと比べると2~4割増えています。その他に、キャベツやタマネギといった野菜づくりに活用されています。
水稲乾田直播・分げつ盛期の様子(農研機構提供) (絵:筒井 博子) 全国農業新聞[外部リンク] 2015年10月2日に掲載されたものを再編集 |
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