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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成27年度(第16回)農林水産大臣賞 業績概要

マハタのウイルス病ワクチンの開発

黒田 丹 氏

日生研株式会社

業績の概要

背景

マハタは既存養殖魚に比べて高単価で取引され、期待のかかる次世代の高級養殖魚である。しかし、致死率が高いウイルス性神経壊死症(VNN)の被害が問題化し、マハタ養殖の産業化を阻む大きなブレーキとなっていた。これまで本病に対する有効な治療や予防手段がなく、養殖業者や行政から本病に対するワクチンの開発が強く求められていた。

研究内容・成果

本病原因ウイルスは未報告の新ウイルスであったことから、ワクチン開発上必須となるウイルスの血清型別(A/B/C型)の解明や野外発生状況等の知見を蓄積する必要があり、専門家の協力を得ながら課題を一つずつ解決した。ウイルスの大量培養法の確立や臨床試験を経て、製造方法に関する特許権を取得し、平成24年1月に農林水産省から水産用医薬品として認可を受け、世界で初めて本病に対するワクチンの実用化に成功した。本ワクチンはアジュバントを含まない液状不活化ワクチンであり、接種動物(マハタ)に副作用を及ぼさず、高い有効性と安全性を示す。本ワクチンの実用化は、マハタ養殖の疾病被害を軽減し、持続的な安定生産に貢献した。

普及状況

ワクチンは平成24年度から販売が開始され、初年度が18万尾分(ドース、以下同じ)、平成25年度が28万尾分(対前年度比156%)、平成26年度が31万尾分(同111%)と推移し、これまでの3年間の累計販売量は77万尾分に達する。なお、平成26年度は供給が追いつかず、実際の需要量は48万尾分(同171%相当)であった。国内外に同種製品及び類似製品はなく、国内市場占有率は100%である。また、本病の被害に悩む関係諸国からも本ワクチンに関する照会を受けている。

評価のポイント

高級養殖魚として期待されているマハタに対する有効なウイルス病ワクチンの実用化に世界で初めて成功し、マハタ養殖の被害軽減に貢献していることを高く評価した。

連絡先

日生研株式会社

住所:〒198-0024 東京都青梅市新町9丁目2221番地の1

TEL:0428-33-1001

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