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農林水産技術会議

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農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について(平成23年8月30日)

農林水産省は、平成23年度科学技術戦略推進費「放射性物質による環境影響への対策基盤の確立」により、福島県及びその周辺の地域を対象に、農地土壌の放射性物質濃度分布図を作成しました。 

作成の目的

この度の東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、福島県を中心に広範囲の農地が放射性物質に汚染された状況にあります。
こうしたなかで、農地の除染など今後の営農に向けた取組を進めるためには、農地土壌がどの程度放射性物質に汚染されているかを把握することが必須です。
このため、農林水産省は、環境モニタリングの中心的な機関である文部科学省及び宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県並びに千葉県と連携・協力して、平成23 年度科学技術戦略推進費「放射性物質による環境影響への対策基盤の確立」により、農地土壌の放射性物質濃度分布図(農地土壌濃度分布図)を作成しました。 

農地土壌濃度分布図の作成機関

農地土壌濃度分布図については、農林水産省が独立行政法人農業環境技術研究所に委託して作成しました。農地土壌の採取については宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県及び千葉県の6県、農地土壌の分析については民間の2分析機関の協力を得ました。

農地土壌濃度分布図の作成の詳細

農地土壌濃度分布図は、以下の手順に従い作成しました。

1 対象区域

宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県及び千葉県の6県の区域を対象としました。

2 調査地点

福島県では約360 地点(警戒区域を含む)、他の5県では計約220 地点の総計約580 地点を調査地点としました。
この調査地点には、本年3月下旬から4月にかけて水田土壌を中心に各県が緊急的に実施した農地土壌調査の地点など、農地土壌濃度分布図の作成を開始した5月末以前に調査が行われた地点も含まれています。

3 農地土壌の採取

放射性物質濃度の測定に用いる農地土壌の試料は、調査地点ごとに一つのほ場から採取しました。具体的には、ほ場での平均的な値を得るため、ほ場に対角線を引きその交点1点、対角線の交点と各頂点との中点4点の計5箇所から、放射性物質が耕起によってかくはんされる深さや農作物が根を張る深さを考慮して、ほ場が水田の場合は地表面から約15cmの深さまで、畑の場合は最大約30cmの深さまでの土壌を採取しました。
採取した5点の土壌試料は、一つのビニール袋に入れてよく混合しました。

4 分析の対象核種

ゲルマニウム半導体分析装置を用いて放射性セシウム(Cs-137、Cs-134)の濃度を測定しました。
農地土壌濃度分布図では、Cs-137 とCs-134 の濃度の合計を表示しました。

5 分析値の補正

分析に使用した農地土壌の試料については、その採取時期が分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(6月14日)を設定して実測値を補正し、それを農地土壌濃度分布図に表示しました。
なお、基準日は、文部科学省が平成23 年度科学技術戦略推進費「放射性物質による環境影響への対策基盤の確立」により作成する「土壌濃度マップ」において設定している基準日と同じ日に設定しました。 

6 地図上での農地土壌濃度の表示

 地図上に、農地土壌の調査地点とその地点で採取した農地土壌の放射性セシウムの分析値(補正後)を表示しました。

7 空間線量率からの農地土壌の放射性物質濃度の推計

今回、調査した結果、農地土壌の放射性セシウム濃度と農地上の空間線量率との間には一定の相関関係が見出されました。これに着目して、福島県を対象に、空間線量率から農地土壌の放射性セシウム濃度を推計する回帰式を作成し、この回帰式を使って調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を推計し、地図に表示しました。
なお、回帰式により推計した放射性セシウム濃度の値と実測値との間には、相当の誤差が生ずる場合があることから、推計値を示した地図は参考情報として示しました。

8 農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲の設定

農地土壌濃度分布図では、濃度分布の傾向を表わすため、濃度に応じて5段階に範囲を区切り、 段階ごとに色別けして農地土壌の放射性セシウム濃度を表示しました。
濃度の範囲を設定するに当たっては、調査地点全体での放射性物質濃度の最高値(約28千 Bq/kg)、稲の作付制限対象区域を設定する際の基準(5,000Bq/kg)及び濃度の値の桁数(1,000、10,000)等を勘案しました。

農地土壌濃度分布図について

農地土壌濃度分布図の作成により、東京電力福島第一原子力発電所周辺地域における農地土壌の放射性物質濃度の分布は、これまでのモニタリング調査や航空機モニタリングで得られた空間線量率の分布とほぼ同様の傾向を示すことがわかりました。
また、農作物が根を張る深さなどを考慮して土壌を採取・分析したことにより、営農上参考となる濃度の分布の傾向が明らかになりました。
加えて、福島県を含む6県を対象にして調査を行ったことにより、広域での農地土壌の放射性セシウム濃度の分布の概況が明らかになるとともに、今後の除染手法の選択など対策の検討に資する情報が得られました。

今後の取組

農地土壌濃度分布図において高い濃度を示した調査地点の周辺の地域等については、今後の除染手法の選択など対策の検討に資するよう、二次補正予算により現在の調査地点を大幅に拡大(約3000地点)して放射性セシウム濃度を測定し、濃度分布を精緻に把握することとしています。
併せて、農地土壌の放射性セシウム濃度を推計値で示した地図について、福島県以外の県についても順次作成することとしています。

参考

8 月30日(火曜日)付プレスリリース「文部科学省による放射線量等分布マップ(放射性セシウムの土壌濃度マップ)の作成について」

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/


(注)文部科学省では、住民の被ばく線量等を評価する観点から、未かくはんの土壌のうち、農地以外の土壌を対象に地表面から5cm の土壌を採取・分析し、地表面の単位面積当たりの放射性物質の蓄積量を示す地図を「土壌濃度マップ」として作成しています。 

 

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究企画課

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