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農林水産技術会議

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機能性成分高めた品種続々と

 

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柔らかで肌に優しい絹(シルク)は、カイコガの幼虫である蚕(カイコ)が作る繭の繊維から作られます。農家がカイコを育てて繭を作らせることを養蚕(ようさん)といいます。明治時代には2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場も造られ、シルクは海外に輸出する主力品として日本の近代化に大きく貢献しました。1930年頃には、当時の全農家の約4分の1にあたる220万戸が携わるほど養蚕が盛んでしたが、価格の安い化学繊維の普及により繭の価格が下がり、その生産量は激減し、養蚕農家も今では全国に368戸にまで減るなど、日本の養蚕は消滅の危機にあります(15年、出典‥シルクレポートNo〓48)。最近ではあまり目にする機会のない「蚕」という漢字を、今でも小学6年生で学習するのは養蚕が盛んだった当時の名残かもしれません。

遺伝子組換えシルクの開発

消滅の危機にある養蚕を再び盛り上げるため、今から十数年前、農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所(現‥農研機構)が、遺伝子組換えにより他の生物のタンパク質をカイコに作らせて新しい機能を持ったシルクを作る技術を開発しました。その後も研究を続け、今では、下村脩教授のノーベル賞でも有名になったクラゲやサンゴの光るタンパク質により緑色、橙色、青色などに光るシルクや、鉄よりも強いといわれるクモの糸のタンパク質を含むことで切れにくくしたシルクをカイコに作らせたり、シルクそのものの性質を変えることで、デザイナーも注目する非常に細く染まりやすいシルクを作ることも可能になりました。

養蚕の復活に向けた動き

これらの新たなシルクからこれまでにない特徴的な絹製品を生み出すことで、繭も高い値段で売れ、養蚕農家の数が増えてわが国の養蚕が復活することも夢ではありません。現在、どうやれば養蚕農家が遺伝子組換えカイコを環境に悪影響を及ぼさないように飼育できるか確認するとともに、光るシルクに興味を持つ企業がその商品化に向けた開発を行っています。皆さんが光るシルクでできた絹製品を手にするのもそう遠い将来ではありません。

 

 写真写真 
緑色と赤色に光るシルクで作ったドレス
((左)白色光、(右)蛍光)。
提供‥農研機構、協力‥(株)ユミカツラインターナショナル

(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2016年8月26日に掲載されたものを再編集

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

担当者:広報班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-5511-8622

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